■今だから(ジャ遊)■

ジャ遊
ポッポで暮らし始めてすぐ、くらいのカンジ。










「やはり此処に居たのか」
「ジャック」
遊星が振り返る。
シティが一望できるこの場所を遊星は気に入っているようだ。
何か考える事があると此処へ来ていることが多い。
隣へ並んで同じようにシティを眺めながらジャックは言った。
「クロウが今日の夕飯はカレーだと言っていたぞ」
「カレーか」
クロウの作る料理は大雑把で適当のように見えて意外に美味しい。
子供たちの面倒を見ていたせいだろうか。
クロウのカレーに遊星が嬉しそうな顔をする。
「…何を考えていた?」
一人で此処へ来る時、遊星は何か考え事がある時が多い。
ゼロリバースの事など、遊星の咎では無い。
あの時遊星は赤ん坊だったのだから、一体何が出来たと言うのだ。
何度そう言って聞かせても、なかなか納得出来ないようだ。
「つまんないだろうな、と思っていた」
しかし今回はゼロリバースのことでは無かったようだ。
遊星の発言に何の話かわからず聞き返す。
「テレビでジャックのデュエルを見ながらつまんないだろうな、と思っていた…ほんの半年くらい前の話なのに随分昔のようだ」
ジャックがこのシティでキングを名乗っていた時の話らしい。
あの頃は確かに、つまらなかった。
望んで此方に来た筈なのに満たされなかった。
「だが、お前は必ず来ると思っていたぞ」
「だからあの時、あそこに居たのか」
遊星がサテライトから、ジャックと同じルートを辿ってDホイールでシティへやって来た時、ジャックは出口で待ち構えていた。
「そうだ…今日こそ来る筈と確信していたからな」
スターダストを追って。
あのカードは遊星にとって大切なものであると知っていて持って行った。
遊星が追って来ない筈はないと信じていた。
そして遊星が此方に来ればこのつまらないシティでの生活も一変する筈だと。
遊星は少し不満そうに言った。
「別にスターダストドラゴンを追ってきた訳じゃない」



「お前を追って来たんだジャック」


まるで愛の告白だ。
そう思った。



「…もっと恨んでいるかと思っていたぞ」
「恨んでなんか居ない…そう言った筈だ」
遊星の頬に手を当てる。
遊星が目を伏せたので、ジャックはそっと唇を寄せた。
だが其れは遊星の手によって阻まれた。
「オレは恨んでいないが、ラリーを危険な目にあわせたのは許せない」
「…お前が助けると思っていた」
口を押さえられて喋りにくいジャックはもごもご言う。
「其れでも危険だった」
「どうしろと」
別にジャックだってラリーを本当に危険な目にあわす気は無かった。
遊星なら必ず助けると、大丈夫だという確信があったからやったのだ。
遊星は言った。
「ラリーに謝ってくれ」
「今更か」
「今だから、だ」
今だから。
シティとサテライトが繋がった、その立役者となった今だから。
「…わかった」
降参、のつもりで手を上げると遊星は笑った。



やっとお許しが出た、と判断して、ジャックは先ほどの続きをする為に顔を近づけた。






END





ジャ遊
再放送バンザイ!!!
なんかもう遊星たんがジャックのこと大好きでたまらん!
こんな大好きだったんだわ最初っから〜〜
ってことで(笑)



2012.02.11

 

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