■全部受け止めてくれる腕■せつなくなるような笑顔■笑顔で名前を呼びましょう■お揃いのマフラー、君の好きな色■金色お月さまだけが知っている■
■全部受け止めてくれる腕■
「おい遊星、あまり根を詰めるな」
休憩しろとジャックがキーボードの横に珈琲を置いてくれた。
「ああ、ありがとうジャック」
礼を言って其れに口を付けると、ジャックは自分のカップに手を伸ばした。
尊大な態度と言動で誤解されがちだが、ジャックは本来兄貴気質で面倒見がいい。
そうやって小さい頃からずっと一緒に居てその背中を追いかけてきた。
ジャックがシティへと行ってしまった後も、結局は其れを追ってきた。
「オレはジャックが居ないと生きていけないのかもしれないな」
「ゲホッ!」
遊星が洩らした言葉は、ジャックを盛大に珈琲に咽させた。
***
ジャ遊
天然の殺し文句
好きなところを10こ
White
lie
13.11.09
■せつなくなるような笑顔■
遊星は滅多なことでは我儘を言わない。
ゼロリバースのことは遊星の咎ではないと何回も言って聞かせているというのに、どうしても気にしてしまうようだ。
皆がゼロリバースのせいで幸せな生活を奪われたというのに、自分が我儘など言ってはいけない、と思っているらしい。
まったく面倒な奴だ。
「遊星、勝負だ!」
オレが勝ったら何か我儘を言って貰うぞ!
そう宣言してやると、遊星は困ったように笑った。
***
ジャ遊
好きなところを10こ
white
lie
13.08.17
遊星は、基本的に表情の乏しい男だ。
内面は熱いものを抱えているのだが、其れはあまり表からは見えない。
一見クールに見える。
だから遊星を良く知らない者から見れば、理知的でカッコ良い、となるのだろう。
それはまあいい。
そのクールでカッコ良い遊星が、親しくなった者に見せる笑み。
それが良くないのである。
あの微笑みにどれだけの破壊力があるのかアイツは解っているのか!
あの笑みでもって「ジャック」なんて名前を呼ばれた日には、
「お前酔い過ぎ。もう寝ろよ」
つかお前其れ惚気じゃねえか。
言い置いてクロウはさっさと引き上げてしまった。
***
酔っ払いがクロたん相手に惚気る
恋の必勝法
笑顔で名前を呼びましょう
2013.01.19
お題は此方から
corona
「シティにはいろんなものがあるな」
遊星がショウウィンドウを覗きながら言う。
機械以外には興味がないかと思ったがそうでもないらしい。
クロウは答えた。
「そりゃそうだろ」
金さえあれば選り取り見取りだ。
とは言っても大会に出場する為にエンジンの開発に金を注ぎ込んでいる身としては贅沢は出来ない。
「マフラー一つとってもいろんな色があるんだな」
「そうだな」
サテライトでは自分の好きな色なんて選べなかった。
あるものの中で選択しなければならなかった。
贅沢なんて言えなかった。
遊星は楽しそうにそう言って此方を振り返る。
「クロウならあの中で何色を選ぶ?」
クロウは笑って問い返した。
「お前は?」
自分ならどんな色を選ぶだろう。
きっとそれは誰かを連想する色。
***
京クロでジャ遊
恋するカレンダー12題
お揃いのマフラー、君の好きな色
12.11.24
恋するカレンダー12題 2
お題Fortune
Fate
月ってこんな色をしていたんだな。
シティで夜空を見上げてまずそう思った。
サテライトの空はいつも濁っていた。
月はその濁った雲の向こうにぼんやりと浮かんでいただけだ。
色などわからなかった。
こんな色をしていたんだ。
まるでジャックの髪のような金色。
なんて綺麗なんだろう。
「『月が綺麗ですね』」
振り向くとジャックが立っていた。
「オレは『私死んでもいいわ』と返せばいいのか?」
「お前が知っているとは思わなかったぞ」
機械とデュエルにしか興味がないと思っていた。
そう言ってジャックは笑った。
やっぱりジャックは綺麗だった。
金色お月さまだけが知っている
***
ジャ遊
遊星たんが恋は盲目的な
12.09.28