久しぶりのオフにテレビを付けたらくだらない番組しかやっていなかった。
芸能ニュースをメインにどうでもいいゴシップネタばかり。
その中に自分の名もあった。
『キング・ジャック=アトラスに恋人か?!』
そんなネタは以前から色々あった。
マスコミというモノはそういうくだらない話が大好きで、その上、いかにも本当のことであるかのように捏造するのが得意なのだ。
またどうせ些細なことから作り上げたでっちあげだろうと高を括って眺めていたが、今回は少し話が違った。
「なんだ此れは!」
思わず怒鳴ってしまった。
ジャックの相手はクロウだというのだ。
ふざけて居るにもほどがある。
幼馴染で同じチームで一緒に戦ったこともある相手。
そんなことは勿論調べてあるのだろう。
そのクロウが、今度シングルリーグへ参戦してくるという。
其れに託けてマスコミは面白おかしく記事にしたいだけなのだろう。
それはわかる、のだが。
寄りにも寄ってクロウとは。
ジャックに取ってクロウは、口が悪いが、大切で可愛い幼馴染で、いわば弟のような存在であり、年下な為かどちらかというと保護対象なのだ。
恋愛対象にはなりえない。
其処へ携帯が着信を告げた。
「…なんだ」
『おージャック、テレビ見たか?』
向こうもオフだったらしい。
げらげらと笑う相手は今しがたテレビに映っていた噂のジャックの交際相手だ。
「…見ていた」
『マスコミも面白いこと言いだすよなー』
クロウは本気で愉快そうに笑う。
多分テレビを見て爆笑したのだろう。
『お前遊星にちゃんと電話しとけよ』
「何故だ」
遊星はこんな馬鹿な三文記事など本気にしたりはしないだろう。
いやもしかすると機械弄りに明け暮れてこんなニュースさえ知らないかもしれない。
そう思って問い返すとクロウはまたけらけらと笑った。
『其れでも離れてると心配になるもんなんだってさ』
誰の受け売りだ。
クロウの言い方が少し引っ掛かった。
「其れは誰の、」
『ちょ、止めろって』
電話の向こうの声が少し変わる。
「クロウ、お前今何処に居る」
『んじゃ、ちゃんと遊星に連絡入れとけよ!』
「おい!」
此方の問いには答えず、クロウはさっさと通話を終了してしまった。
ツーツーという音だけが虚しく通話口から聞こえてくる。
ジャックは携帯をソファへ放り出した。
「アイツめ…」
いくら弟の様に思っているとはいっても、クロウもいい大人だ。
何処で誰と何をしていても本人の自由だ。
だがジャックにとってはどれほど大きくなろうが、クロウはいつまでも小さな弟なのである。
誰の所に居たのか容易に想像できるだけに余計腹立たしい。
というか、大事な娘を余所の男に取られたような気分だ。
その大事な娘に恋愛指南を受けたということもどうにも面白くない。
しかし此処はクロウの言うとおり遊星に電話しておくべき処だろう。
久しぶりに声も聞きたい。
其れは本音だ。
ジャックは放り投げた携帯を再び手にした。
END
ジャ遊と京クロ
京クロを書こうと思ってたのだが
気が付いたらどう見てもジャ遊だった件
まあホモォってネタが出るか?ってハナシなんですけども(^^ゞ
ジャックはガラケーじゃなくスマホかもしれん
クロたんはオフに満足街へ来てる訳です。