■闘う(ジャ遊)■
ジャ遊。
サテライト時代妄想
走るDホイールと並ぶように星屑龍がふわりと舞い上がった。
キラキラと光る美しい龍。 名前の通り星の欠片のような。 見ていた仲間たちの間から歓声が上がる。 Dホイールと併走する龍は、映像とは思えないほどの迫力で空を飛ぶ。 同じ方向を見て、走る。 共に闘う、臨場感。 それは普通のデュエルとは比べ物にならないほどの高揚をもたらした。 だが、デュエルは出来ない。 しばらく走ったところで、遊星はバイクを止めた。仲間たちが駆け寄ってくる。 後からゆっくりとやってきたジャックが言った。 「美しい龍だな」 「そうだな」 遊星はその言葉に頷いた。 二人で空を見上げる。 Dホイールが止まったことでスターダストは光を振りまきながら消えようとしていた。 本来ならデュエルの中でその美しさを発揮する龍。 見上げて遊星が言う。 「闘うスターダストはもっと綺麗だろうな」 「・・そうだな」 ややあって、ジャックがそう答えた。 遊星もそれは無理だとわかっていた。 皆の協力を得て、部品を集めて作ったDホイールはこの一台。 サテライト住民で持っているのは遊星だけ、この一台きりだ。 星屑龍を実際のライディングデュエルで使うためには、もう一台なければ無理だ。 それでも、いつか。 ジャックと対戦してみたいと思った。 闘う龍を見たかった。 昨日まで其処にあったDホイールと星屑龍が無くなっていると知った時、遊星はぼんやりと、ああ昨夜は満月だった、と思った。 満月のメンテナンス。 もちろんジャックも其れを知っていた。 仲間たちは口々にジャックを責める言葉を吐いたが、遊星は何も言わなかった。 次のDホイールを作らなければならない。 闘うスターダストはもっと綺麗だろうな それが見たいと言ったのは自分だったから。 ジャックは追って来いと言っているのだ。 闘う美しい龍を見るために。 闘うために。
ずいぶん前に書いたモノですが いくらなんでも妄想が酷いと思ってボツってました(^^ゞ ジャックは遊星たんに追って欲しかったの! しかしジャックの「いつまでその閉じた世界にいるつもりだ」云々を聞いて あながち妄想でもなかったかな?と思いまして。 やっぱ追ってきて欲しかったんだよねぇ? サテライトで新婚生活を夢見てるのよね!
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