・恋音を数える日々
「クロウ」
「あ、わりい。ちょっと用事があったんだった」
鬼柳の顔を見たとたん、クロウはああだこうだと無駄な言い訳をしてその場から逃げだした。
此処のところずっとそうだから、鬼柳も流石に避けられていると気が付いているだろう。
けど、仕方ない。
だって鬼柳はクロウのことが好きだと言うのだ。
友愛ではなく、好きだと言うのだ。
そんなことを言われたって困る。
どうしたらいいかわからないから困る。。
答えが出ないからクロウは逃げ出すしかない。
そんな態度が、意識していると告げているようなものだと、気が付いては居るのだけれど。
***
京クロ
14.07.27
愛し君への恋心
恋したくなるお題
(配布)
・あなたならあばたもえくぼ
「クロウはオレの何処が好き?」
阿呆な質問してくるなあと思いながらもクロウは答えた。
「顔」
「えー」
クロウの返答はお気に召さなかったようだ。
満足できねえ、と鬼柳は喚く。
自分がイケメンであるという自覚はある癖に、顔が好きと言われるのは嫌だなんて、よくわからない。
そもそも、何処が好きか、なんて。
そんな質問は愚問なのだ。
何処が好きかなんて自分だって良く解らない。
気が付いたら好きだった。
死んだり生き返ったり散々振り回されたけど、でもやっぱり好きだった。
答えはつまり『全部好き』なのだ。
でも其れを言ってやるのは癪じゃないか。
***
京クロ
14.03.30
好きなところを10こ
White
lie
・抱き付いた時の匂い
ポッポタイムの前でDホイールの停まった音がした。
誰が来たか解っているから、わざと知らん顔をする。
「クロウ!」
遠慮もなく、勝手知ったるとばかりに入ってきたのはやはり鬼柳だった。
「久しぶりだな!」
ぎゅうと抱きついて来る相手に言う。
「べたべたすんな」
「いいじゃねえか久しぶりだし」
ああクロウの匂い〜。
頭に顔を埋めて何か言ってるのでどついてやった。
「オレは仕事へ行くからな」
「えー」
「すぐ帰ってくっから」
鬼柳の匂いがなんかもう、此処に居てくれるってのが、嬉しくて。
照れ臭くって逃げ出した。
***
京クロ
14.01.11
好きなところを10こ
white
lie