■台詞(京クロ)■
満足京クロ。
一緒にテレビ見たり。
暇なのでテレビをつけたら、何やらドラマが始まるところだった。
春から始まった新番組で、今夜は第2回らしい。 1話は見逃したわけだが、まあまだ2話目なわけだし、そんなに話も進んでいないだろうから、見ていれば初回の大体の粗筋はわかるだろう。 暇つぶしには丁度良さそうだ。 サティスファクションのアジトにはテレビが二つある。 遊星の所有するものと、クロウの持っている物だ。 どちらも壊れていたものをそれぞれが直して見られるようにしたものだ。 普段は特に思わないが、こういう暇を持て余した夜にはあれば便利な物だと思った。 テレビを見るついでに何か食べようと、台所に行って、四等分に切った食パンにチーズとハムをちょっと乗せて、ピザトースト風にレンジで焼いてみた。 ホットミルクと皿を持って自室に戻る。 椅子代わりにベッドの上に座ったところで、ひょっこりと京介が部屋に顔を出した。 ふんふんと鼻を鳴らして言う。 「何かいい匂いがする」 「食うか?」 皿をちょっと持ち上げて誘ってやると、嬉しそうにいそいそと部屋に入ってきた。 どうやら京介も暇だったらしい。 並んでベッドに体育座りして夜食を齧りながら、ドラマを視聴する。 「何これ、何で息子に素直に遺産やらねーの?」 「なんかこっちのコイツも養子縁組して遺産相続の権利があるらしいぜ」 「なんでこんなヤツ養子縁組なんかしたわけ?」 「知るか、オレだって初めてみたんだよこのドラマ。黙って見ろ。うっせーことばっかり言ってるなら帰れ」 蹴りだしてやろうとすると、京介は降参、と手を挙げて見せた。 「大人しく見るから!な、これ飲んでもいい?」 京介はミルクの入ったカップを指さした。 喉が渇いたらしい。 チーズが少し多すぎたかな、と思いつつ許可を出す。 「ああ、・・って人の口付けたところからわざわざ飲むんじゃねぇ!」 「間接キス」 嬉しそうに言う京介を今度こそベッドから蹴り落としてやった。 「もうお前マジで帰れ」 「ウソウソ、大人しくするから!」 今度こそ口を噤んだ京介と再び並んでテレビを覗き込む。 自分で黙れと言ったくせに、いざ静かになられてしまうと、何故か落ち着かない。 居心地が悪くて、ちらりと横の京介を覗き見る。 まあ黙っていれば、このテレビの中の俳優に負けないくらいのイケメンではあると思う。 そんな風に考えると、すぐ隣に居る京介がなんだか遠い存在のように感じられた。 「何これ、決めセリフなわけ?毎回絶対言うのか?」 「しらねーっつってるだろが」 黙っていることに耐えられなくなったのか、再び京介がドラマを見ながらなんだかんだと言いだした。 慣れない沈黙が去ったことにホッとする。 「酒飲んでこんな長ったらしい詩を垂れ流すなんて面白いなー。聞いてる方が恥ずかしいわー。これ味の感想なわけ?こんなポエム、覚える方も大変だろうな。俳優ってすげえ」 「感心するところは其処かよ」 何だか的外れな感想を述べる京介に突っ込みを入れてやる。 突っ込みなど気にせずテレビを見ていた京介は続けて言った。 「つか、このヒロイン、胸大きいな!」 言われてみれば確かに大きい。 クロウも改めてヒロインを見ながら聞いてみる。 「なんだ、鬼柳、お前巨乳好きなわけ?」 特に深い意味もなく聞いた言葉だったが、京介は綺麗に笑うと言った。 「いやオレが好きなのはクロウだし」 さらり、とそんな事を言ってのける。 突然恥ずかしげもなくクサイ台詞を当たり前みたいに言うから、不意打ちを食らってなんて答えたらいいかわからなくなってしまう。 さっきのテレビの中の台詞より、聞いてるこっちは百倍恥ずかしい。 「お前、俳優とか向いてるんじゃねーの」 クロウは赤くなった頬を見られないように膝の間に顔を伏せてそう言ってやった。 END 満足京クロ。 京介は恥ずかしげもなくくっさい台詞を言えるタイプだと思います(^−^) あと絶対テレビ見ながらあだこだ五月蠅く喋ると思う(笑) かみのしずく、面白いです。 しのはらさんが好きだなv
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