■夢を見た(京クロ)■

京クロ・ダグナ
クロウたん無事だったみたいなのでフライング(^^ゞ












瞼を開けると、何か温かいものが側に居るのがわかった。
寝ていたらしい自分に寄り添っていてくれた、水色がかった白い髪。
「・・・京介」
体を起こしてそう呼ぶと、京介は吃驚した顔でマジマジとオレの目を覗き込んだ。
「どうしたんだ、クロウ。今までどんなに頼んでも名前で呼んでくれなかったのに」
「ホントは呼んでみたかったから」
そう答えると京介は大丈夫か、という顔をした。
「どうしたんだよ、クロウ?変なもんでも食べたか?それとも熱ある?」
デコに手を当てて、熱でもあるのか、と測るそぶりを見せる。
ちょっとムッとしたけど振り払わなかった。
温かい掌。
「熱なんかない」
「じゃあ酒でも飲んだのか」
「飲んでねえよ」
「んじゃ、夢だな、これ。幸せすぎるもん」
そう言って京介は昔のままの笑顔を見せた。

そうだ、夢だ。
オレは知ってる。
お前はもうこんな風に笑わない。

だけど

せめて夢の中でくらい、言っておきたいことがある。


どうしても伝えたい言葉なのに、自分の夢さえも自由にならなくて、気がつけば冷たい地面の上に転がって黒い霧の広がる空を見上げていた。







目を開けるとコカパクアプの塔の前だった。
壁に寄り掛かって、ほんの少しだが眠っていたらしい。
眠っていた、ということに自分で驚く。
何か、夢を見ていた気がする。
まるで生きている人間のように。
「は、くだらねぇな」
死人のくせに、夢を見るなんて。
誰かの夢を見ていた。
いつ触れても温かい、『誰か』の夢。
「夢枕に立ったってか?」
吐き捨てるように京介は言った。
目が覚めると同時に夢は泡と消え、誰と会っていたのかさえ思い出すことが出来ない。


残っているのは、冷たいこの掌に、温かい感触。
それさえも気のせいだと言われればそれまでの儚いもの。


見上げると空に地縛神クシルの地上絵が浮かんでいた。
ディマクがデュエルを開始したらしい。
「ったく」
京介は壁をガンと蹴りあげた。
「さっさと来いよぉ!遊星ぇ!!てめーがもたもたしてっからこんなにイラつくんだろうがぁ!!」

覚えているのは遊星への恨みと憎しみだけだ。



自分の中にそれしか残っていないという事実が、京介をさらに苛立たせた。






END





京クロ・ダグナ
クロウたん無事だったみたいなのでフライング。
何で無事だったのか全然わからないんですけども;
京介はまだまだ待ちぼうけ食らわされるらしいなー(笑)
待ちくたびれて転寝中ってことで(^−^



2009.03.22

 

 

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