■だって、あの馬鹿は(京クロ)■

京クロ
55話後で牛尾さんとクロウたん









セイヴァー・スター・ドラゴンが輝きながらゆっくりと空に消えていく。
まるで誰かを惜しむかのように、光を残しながら。
其れを見送るオレンジの頭の子供の眼に涙は浮かんでいなかった。
ただ、空に残る光が映っているだけだ。
けれど、泣いている、と思った。



龍亞の呼び声に気がついた遊星が顔を上げる。
此方に合流する遊星を待つ、少しの間にもう一度ちらり、と顔を盗み見る。
やはり泣いては居なかった。
「何だよ」
視線に気がついたクロウが不満そうに口を尖らせる。
「何でもねぇよ」
ったくてめえらは餓鬼のくせに態度だけはホントでっかいよな。
だからこそ下手にへこんでいられたりすると此方がどう対応していいかわからなくて困るのだ。
ぶちぶち言う愚痴の合間にこっそり呟く。
「意外に大丈夫そうでよかったぜ」
独り言のように呟いた声に、クロウが反応した。
「は?何が」
「・・・お前らが。・・・アイツ、仲間だったんだろ?」
言ってもいいものか、ほんの少し迷いながら言う。
たった今、遊星が倒したダークシグナー、鬼柳京介。
かつては仲間だったと聞いていた。
大切な、仲間。
二人のデュエルを見る、クロウの様子からも、それは見て取れる。
仲間だとか絆だとか。
そういう、大人がもう恥ずかしくて口に出せないような言葉を、当たり前のように口にする連中だから。
もっと、取り乱すかと思っていた。

泣くかと、思った。

クロウは笑った。
「だってあの馬鹿はちょっと甘やかすとすぐ調子に乗るから。此処等でビシっと厳しくしてやんねーと」
甘やかすといつまでも此処に居るから。
またいつまでも未練たらしくウロウロさせとくわけにはいかないだろ。

「いい加減ちゃんと成仏させてやんねーと」

そう言って笑う。



その瞳には涙なんて浮かんでいなかった。
けれど泣いているように見えて、どうしたらいいのかわからなくなる。



とりあえずその頭を掻き混ぜてやる。

大人なのに、子供を泣きやませる術を知らない自分に腹が立った。






END






京クロであの後で牛尾さんとクロウたん。
泣くと京介がまた迷って化けて出てきちゃうから
我慢してんだよぅ・・

って妄想で補完です(^^ゞ


それにしても私は牛尾さん好きすぎるなぁ。


2009.05.06

 

 

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