■朝の挨拶(京クロ)■

京クロ
チーム・サティスファクション時代捏造。









部屋を出たところで、まだ眠そうに大欠伸をしているクロウを見つけた。
ああ、猫みたいで可愛いなぁなどと言う感想を飲み込んで、京介は近づいて顔を近づける。
「おはよう、クロウ」
返事を待たずに、ちゅ、とその唇に触れた。
クロウは何をされたのか一瞬理解出来なかったらしい。
ぽかん、とした顔で京介を見上げていたが、もう一度挨拶してやると、いきなり手を振り上げた。
「何すんだよ!」
真っ赤になったクロウが振り回した腕を、京介はあっさりとかわしてみせる。
「何って、朝の挨拶」
かわしておいて、別に何でもないことのように告げた。
「外国人はこうやって挨拶するんだろ?」
「外国人って・・あのなぁ」
クロウは長い溜息をついた。
「外人だって挨拶で口へはあんまりしねーだろ」
「そうなのか?」
如何にも知りませんでしたと言う風を装って驚いて見せる。
もちろんポーズだ。
「そりゃそうだろ。頬っぺたとか、そんなトコにするもんだろうよフツー」
「恋人同士なら口にするのもありなんじゃないか?」
食い下がる京介に、かりかりと頭を掻いて、クロウは小さく付け加えた。
「・・・まあそうかもしれないけどよ」
その頬に、ちゅ、とキスをして京介は言った。
「じゃあ口にするのは恋人になってからにするよ。じゃあ改めて、おはよう、クロウ」
クロウは赤くなった頬を押さえて、うー、と唸った後、お前頭いいのかと思ってたけど意外に阿呆なんだな、と感想を述べた。



「おはよう、クロウ」
言って頬っぺたに、ちゅ、と軽くキスしてやる。
そのままにこにこ笑いながら待っていると、クロウは渋々、と言う風に小さな声で挨拶をした後、同じように鬼柳の頬にキスを返してくれた。
未だ恥ずかしいのか、赤くなったままさっさとその場から離れるクロウを見送る。
しつこく朝の挨拶を繰り返し、お返しを要求し続けて、クロウもとうとう根負けした形だ。
もちろんこのまま習慣化させるつもりであるし、何れは恋人の挨拶に進化させるつもりでもある。
「凄いな」
何処から見ていたのか、やってきたジャックが言った。
挨拶を返してくれるようになるまでの京介の粘りを、知った上での感想だ。
感心したような、呆れたような、どちらともとれる口ぶりだった。
「根気と頭脳の勝利だね」
感心している、と良い方に解釈して、京介は胸を反らして見せた。
「まあ」


「遊星相手には使えない手だけどね」


「そうだろうな」
ジャックは澄ましてそう返した。
「遊星はクロウと違って頭がいいからな。こちらの思惑などすぐにばれる」
「単純で素直なんだよ。其処がクロウの可愛いところなんじゃないか」
「言っていろ」

うっとりと呟く京介の相手に疲れたのか、ジャックは心底呆れた声で答えた。





END






京クロ

毎日ちゅーして慣らして行こう、的な京介の頭脳戦でした(^^ゞ
クロウたんは押しに弱いんじゃないかと思うんだ。

最後はジャックと京介の「うちの嫁自慢」みたいになってますが(笑)



2008.11.16

 

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