■寂しかった?(京クロ)■
京クロ+遊星たん
京介が帰ってきたら、っつー妄想。
「ただいまー!」
元気に扉を開けて京介が仕事から帰ってきた。 旅から帰ってきたあと、仕事が決まるまで暫く置いてくれ、と言ってそのまま居付いてしまった形だ。 ジャックよりも本音と建前を使い分けることに長けた京介は、あっさり職を見つけてきたくせに、なんだかんだと言って此処から出て行こうとはしない。 食費も家賃もクロウに渡しているようだ。 追い出せないのはそのせいだとクロウは言うが、其れが本音ではないと遊星は知っている。 「おう、お」 お帰り、と続けようとしたクロウの言葉は、飛びついて来た京介によって遮られた。 振り返ろうとした背中に体当たりをかまされてクロウはぎゃあと騒ぐ。 「てめえは何度言ったら飛びついてくんの止めんだよ!」 ぶん、と振り回されたクロウの腕を素早く避けて京介は言う。 「だって一日離れていてクロウたんが寂しかったかと思うと、つい」 「誰が寂しいんだよ!」 クロウの言葉に、芝居がかった仕草で宙を見上げて京介は言った。 「オレが帰って来た時の、クロウのあの泣きそうな顔が忘れられなくて・・」 「・・・〜〜〜!!!」 赤くなったクロウは、手近にあった工具を振り上げる。 それが投げられる前に、京介は素早く階段の上に避難した。 「ちょ、クロたんそれ当たったらマジ死ぬって!」 「クロたんとか言うな!つかお前それ何時になったら忘れんだよ!?」 「ぜってー忘れねえええ〜・・超嬉しかったし〜〜〜」 「くそったれ!馬鹿鬼柳!!」 工具は遊星のものなので、投げることは諦めたらしい。 駆け上がっていく京介の背中に怒号を浴びせて、クロウは一部始終を見ていた遊星を振り返った。 まだ顔が赤い。 「ったく、あの野郎」 ぶつぶつ言うその姿もなんだか可愛らしく思えてつい笑うと、クロウに見咎められた。 「なに」 「いや、クロウが元気になって良かったと思っただけだ」 「・・・オレ、そんな元気なかったか?」 遊星は首を横に振った。 「そんなことは無い。だが、無理をしているのではないかと少し思っていた」 「・・・心配させてわりかった」 謝ることは無い、そう答える前にクロウは続けた。 「元気ねえつもりはなかったんだけどよ」 そう言って小首を傾げる。 「でもオレ、やっぱアイツが居なくて寂しかったんかなぁ?」 疑問形なその台詞に、遊星は再び笑った。 此処まで来てまだ自分の感情に戸惑っているらしい。 早く、認めてしまえばいいのに。 京介が帰って来たときの、泣きそうな、でもとても嬉しそうなあの顔を遊星も覚えている。 「クロウは、もう少し其れを素直に鬼柳に言ってやったらいい」 寂しかった、もう何処へも行かないで欲しい、と。 「ぜってえやだ!」 クロウは言った。 「そんなん言ったらアイツまた調子乗るじゃねーか!ぜってえ言わねえ!!」 あいつ超うぜえから!とクロウは騒ぐが、もう手遅れだ。 背を向けているクロウからは見えないだろうが、遊星の位置からは階段の上に京介の足が見えていた。 後1秒もしないうちにクロウは調子に乗った京介の体当たりを再び食らうことになるのだろう。 だけどそれさえも、本当は嫌ではないのだと知っている。 クロウを元気にしたのが自分たちでないことは少し悔しいけれど。 END 京クロ+遊星たん 京介が帰ってきたら、しばらくは居候よね! 行くあてなんか無いもんね! そんでずるずるとクロたんのとこに居ついちゃうのよね! という妄想をした結果(^−^) まだ待てるけども! でも早く帰ってきて頂戴よー京介え!
|