■ホントにあったコワイハナシ(京クロ)■

満足時代京クロ
怖くない話









子供たちを寝かしつけて、居間に戻ってみると、京介が一人でテレビを見ていた。
遊星とジャックは自室へ引き上げてしまったらしい。
部屋の中は真っ暗だ。
画面を覗く京介の白い顔だけが、さらに青白く照らされている。
「何やってんだ真っ暗なトコで」
「雰囲気出るだろ」
明かりをつけようとしたら止められた。
クロウは京介の後ろからテレビを覗きこむ。
「何見てんだよ」
「ホントウにあったコワイハナシ」
ホラーか。
興味の無い内容に、クロウも遊星たちに倣ってさっさと部屋に引っ込もうとした。
しかし踵を返そうとした瞬間、腕を掴まれる。
「一緒に見ようぜ、クロウ」
「勝手に一人で見ろよ。オレ興味ねえし」
腕を振りほどこうとしたが、上手くいかなかった。
「一人で見んの怖ええだろー」
特に怖いとは思っていなさそうな声が大袈裟にそう言う。
掴んだ手を離す気が無さそうなので、仕方なくソファに腰掛ける。
隙を見て逃げる体勢だ。
其れを察したのか、京介はソファの端から移動してクロウ寄りに腰掛け直した。
さり気なく少し身体を離して、クロウは画面に視線向ける。
「人間の情念が一番怖ええよなぁ」
テレビを見ながら京介が言う。
「くっだんねー」
クロウはそう返した。
「クロウはユーレイとか信じねえタイプ?」
「当りめえだろ。そんな目に見えないもん信じてたまるか」
クロウの返答が気に入らないようで京介は口を尖らせた。
「えーオレ死んだらユーレイになってクロウの傍にずっと居ようと思ってるのに」
「馬鹿じゃねえの」
ケッと吐き捨ててやる。
「じゃあさ、見えたら信じてくれるわけ?ユーレイじゃなくゾンビとかだったら?したら見えるだろ」
「阿呆か」
京介はしつこく食い下がる。
「だってゾンビならいくら霊感ゼロでも身体あるんだし見えんだろ?」
「ふざけんな」

さっきから、死んだら死んだらって。

もうすぐ死ぬ予定でもあるかのように、死ぬことを前提として喋っているのが面白くない。
死んだあとの話なんか知るもんか。
頭にきたのでソファから立ち上がりながら、思いっきり足を踏みつけてやった。
足の甲を踏まれて情けない悲鳴を上げる京介の頭に怒鳴る。
「そんなキモイもんに付きまとわれてたまるか。ぶん殴って成仏させてやる!」
「成仏したくない、クロウと居たい!」
駄々を捏ねるように京介が言う。


「じゃあ死ぬな!!馬鹿!!」


幽霊になって、なんて阿呆なこと言ってないで。



力の限り怒鳴って、少し息切れするクロウを、しばらく黙って京介は見上げていた。
「うん、そうするわ」
やけに嬉しそうにそう宣言すると、クロウの腕を引っ張った。
引っ張られてせっかく立ち上がったのにまたソファに逆戻りする。
逃げ出し損ねた。
抱きつかれて動けない。



見たくもない番組を眺めながら、ああこれが金縛りって奴かあ、などと見当違いなことを考えてみるクロウだった。






END




京クロ満足
怖くない話(笑)
実際京介はダグナってゾンビみたいなもんになって戻ってきたわけですがね(^^ゞ
まあ其処がホントにあった話ってことで。

クロたんは幽霊とか信じてなさそう・・
でも実は怖がりだったら可愛い(^−^)
私はそういう話は苦手です。

夏も終わりだしちょっとそういう話を書こうと思ったら
なんか違うものになった;


2009.08.30

 

 

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