■三つ編み(京クロ)■
京クロ
ロン毛の京介が帰ってきましたよ捏造。 京クロで青→黒っぽい。
遊星と一緒に帰ってきた男を見て、ああこれが噂の『鬼柳京介』なのか、と思った。
ブルーノの京介に対する第一印象は、愛想の良い好青年、だった。 2階から下りてきたクロウが、ブルーノの横を素通りして仕事用のジャンパーのポケットをごそごそ探っている。 何をしているのか、と覗いてみると、そのポケットからテーブルの上に可愛らしい髪止めや、ゴムが広げられた。 「どうしたの、これ」 そのうちのひとつを手にとって尋ねる。 プラスチックで出来たオレンジの飾りのついたゴム。 「こないだ配達先で貰った。なんか子供向けのセット商品のオマケだったらしいけど、余ったからって。龍可にやろうと思ったんだけどよ」 確かにこれは子供向けだ。 そう思いながら見ていると、その中からクロウは2つでセットになっているゴムを手に取った。 そっちは可愛らしい苺の飾りがついている。 「よし、これでいっか」 それと、櫛と手鏡を持って、クロウは再び階段を駆け上がる。 ゴムを持ったままブルーノはそれを見送った。 クロウは大人びている、とブルーノは思っている。 容姿からすると背は低いし、時折この間のジャックが捕まった時のようにかっとなって言い過ぎるなど、子供っぽい面が目立つこともあるが、しっかり者なのは確かだ。 対して年も違わないであろうゾラの息子を厳しく叱咤した、あの一件を見ても、精神的に大人であると言ってもいいと思う。 昔、身寄りのない子供の面倒をみていたというから、そのせいもあるだろうか。 そのクロウが、まるで悪戯を思いついた子供のように浮き浮きと階段を上っていく。 何を始める気なのか気になって、ブルーノはその後から階段を上った。 2階のソファの上に此方の肘掛側に頭を向けて寝ている男が居た。 『鬼柳京介』だ。 帰ってきたばかりの京介は、ブルーノと同じく、ただ今此処に居候の身である。 付いてきたブルーノを見てクロウが言った。 「コイツ、無駄に髪伸ばしてやがるから三つ編みにしてやろうと思って」 まさしく悪戯する気満々だった。 ブルーノは苦笑した。 「丁度いいや、ブルーノ、此れ持っててくれよ」 手鏡を渡されて、京介の顔が映る位置で持っているように指示される。 共犯者だ。 ま、いいけど。 ウキウキと楽しそうなクロウを見て、ブルーノは大人しく指示に従った。 櫛で軽く梳かして、二つに分け、三つ編みを始める。 上手いものだ。 「上手だね」 褒めると、クロウは言った。 「昔、ガキの面倒見てたってハナシしたっけか?チビでもやっぱ女の子はゴムで結んだり、髪止め付けたり、そういうの好きなんだよな」 それで上達したらしい。 「つかコイツの髪、三つ編みしづれぇ。サラサラし過ぎなんだよ。なんかムカつくなー」 キツク編まないとすぐ解けてしまうらしい。 「ムカつくの?」 それにしては楽しそうだ、と思って問い返す。 「だってよ、オレの髪なんてボッサボサだもん」 「でも可愛いよ?」 撫で心地もいいし。 そう言うと、クロウは手を止めてブルーノを見た。 「何?」 「いや、オレにそんなこと言うのこの馬鹿くらいだったからさ。何か吃驚しただけ」 言いながらクロウは作業を再開した。 吃驚した、と言う割には特に気にもしていないようだ。 ちょっとソレが引っかかった。 「よし、出来た!」 何故、其処が引っ掛かるのか考える間もなく、クロウが三つ編み作業終了を宣言する。 二人で京介の顔を覗き込んだ。 「うん、可愛いね」 ブルーノは素直な感想を述べた。 「あー・・・うん。何か『大☆爆☆笑』ってカンジじゃねーな。コイツ無駄に顔がいいから思ったより似合っちまってシャレになんねー」 想像していたほど面白くはなかったが、それでも三つ編みの仕上がりには満足したようだ。 クロウは言った。 「ま、いいや。遊星たちにも見せよう」 楽しそうに目の前で揺れるオレンジの頭を見ながら、自分が下からゴムを持ってきてしまったことに気がつく。 オレンジの飾りのついた奴。 「ねえ、クロウの髪もやってみたいんだけど」 好奇心に駆られてブルーノは言った。 「はあ?!ちょ、何言い出してんだよ。オレの髪は三つ編みなんか無理だって」 「三つ編みじゃなくって、ほら、龍可みたいな。あれ、ツインテールって言うのかい?あれなら出来るんじゃないかな」 「やーめーろー!」 まずはバンダナを取ろうとするブルーノと、阻止しようとするクロウの攻防戦が始まった。 「ちょ、マジやめろって!そりゃオレだったら『大☆爆☆笑』ってカンジにはなるかもしんねーけど!」 「そんなことない、きっと可愛いよ」 「ふざけんな!」 続く攻防戦は唐突に終了した。 ふいに横から伸びてきた腕が、ブルーノの手を叩き落す。 そのままその手はクロウを抱き寄せた。 「触んな」 「オレのだから」 にっこりと笑顔で付け加える。 しかしその眼も、言葉も、少しも笑ってなどいなかった。 ああ、これが『鬼柳京介』なのか。 「誰がおめえんだ!」 「げふぅっ!」 腹に肘を決められて、情けない悲鳴を上げる京介を見ながら、ブルーノは『鬼柳京介』に対する印象を修正した。 END
京クロで青→黒っぽい 多分京介は最初から起きている(^^ゞ あのまま帰ってきたら鬱陶しいから切れって言われそう(笑) クロたんは女の子の面倒見てたし むすんであげたりとかしてたんじゃないかなって思います。
|