■風邪(京クロ)■
京クロ・サティスファクション時代。
風邪っぴき京介さん。 ギャグっぽいけどラブです。
「あ、起きたか。具合どうだ?」
重い瞼を開けると、其処にクロウの顔があった。 なんだか優しい。 さっきまで苦しかったことが嘘のように、その顔を見ているだけで幸せな気持ちになる。 「嗚呼、クロウ・・此処は天国か・・?オレは死んだのか?」 「何馬鹿なこと言ってるんだよ。風邪ひいたくらいで死なねーっての」 クロウはケラケラと笑う。 それから立ち上がって向こうのテーブルの方へ歩いて行った。 「馬鹿は風邪ひかねーと思ってたけど、鬼柳はひくんだな」 「酷い言われようだな」 そうだ、風邪をひいて寝込んでいるんだった。 思い出したらまたなんだか具合が悪くなった。 「日頃の行いが悪いからだろ」 クロウの冷たい言葉が熱のある身体に堪える。 そりゃあ普段から抱きついたりキスしたりセクハラしたり隙あらばエッチに持ち込もうとしたりしてるけども、それは全部、 「愛なのに」 「・・お前ホント具合悪いのか?」 盆を持って戻ってきたクロウがそう聞いてきた。 悪いよ、ものすごく悪い。 クロウに冷たくされるだけで本当に死んでしまいそうだ。 「薬飲む前になんか腹に入れた方がいいぜ。食えるか?」 ベッドの脇のテーブル、というか台に、その盆を乗せてクロウが言った。 盆の上には小さな鍋と水の入ったコップが乗っている。 お粥か何かだろう。 残念ながら食欲がなくて食べる気にならない。 「悪いけど食欲ないんだ」 「玉子雑炊。レトルトだけどまあ一応オレが作った」 「食べる」 あっさりと前言を翻したら、クロウはぶっと盛大に噴き出した。 「ジャックの言ったとおりだ!要らないって言ったらオレが作ったって言えって」 ・・・ジャックの奴。 奴の予想通りの行動をとってしまったのが面白くないので、もう一言付け加えてみる。 「クロウが優しく『あ〜ん』ってしてくれたら食べる」 「ふざけんな」 ゴス、と脳天に手刀が落ちてきた。 「クロウは冷たいな、オレは病人なのに」 雑炊を口へ運びながらブチブチと恨み事を述べてみる。 せっかくクロウが作ってくれたというのに、勿体ない事に全然味がわからない。 それでも頑張って食べる。 「元気じゃねーか」 椅子に座って、雑炊を食べる様を見ながらクロウはさらっと言った。 それが面白くなくてさらにぶつぶつ僻んでみる。 「ジャックが寝込んだらもっと優しく看病するんだろ?」 「ジャックも馬鹿だから風邪ひかねーよ」 ジャックが聞いたら大騒ぎするであろう台詞を吐いてクロウは笑った。 「風邪ひいたとしても、どうせ遊星が看病するし」 「・・じゃあ、遊星なら?」 遊星相手なら優しく看病するのか。 それとも。 「遊星が風邪ひいたら、当然ジャックが看病すんだろ」 ジャックが風邪をひいたら、遊星が看病して。 遊星が風邪をひいたら、ジャックが看病をして。 オレが風邪をひいたら、クロウが此処にいてくれてる。 「ああもう鬱陶しいなお前はー。普段から鬱陶しいけど、病気だともっと面倒くさい!」 馬鹿みたいに僻んで言ったセリフを反省していたと言うのに、面倒くさいって、そんな言い方は酷い。 まあ確かに自分でもちょっと粘着質かなと思う時はあるけども。 クロウは、あらかた食べ終わった雑炊の鍋を取り上げて盆へ戻した。 それから、水の入ったコップを寄こす。 「ほらさっさと薬飲んで寝ろって。消費期限切れかかってる『早めのナントヤラ』だけどな」 手遅れかもな、などと付け加えてクロウはけらけら笑う。 サテライトでは風邪薬なんて貴重品だから、期限切れでも何でもあるだけありがたい。 何処から手に入れてきたんだろう。 苦労して入手してきてくれたんだろうなぁと思うと本当に嬉しい。 「さっさと飲んで寝て、早く直せって。マジで鬱陶しいから」 此処で『口移しで飲ませて』などと言ったらまた殴られるのはわかっていたので、さすがに空気を読んで大人しく飲んだ。 END 京クロ 「効いたよね早めのパ○ロン」ってことで。 邪険に扱われてるようだけど そこに愛はあるの!!みたいな。 でもなんかメンドクさいオトコなのは確かだな(笑) いやジャックと遊星たんが京介の看病が嫌で クロウたんに押し付けたわけではありませんよ・・(笑)
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