■歯ブラシ(京クロ)■

京クロ
歯ブラシとポッポタイムの面々









 

自分たちの暮らすポッポタイムの狭い洗面所に、歯ブラシが5本立っている。
1本増えていることに遊星は気が付いた。
迷うことなく赤の歯ブラシを手にとって歯を磨く。
この歯ブラシは近所のスーパーで安売りになっていた物だ。
同じもので、色違い。
歯ブラシを間違えないように、それぞれ連想しやすい色を自分のモノと決めた。
クロウとブルーノは髪の色から黄色と青。
ジャックや遊星は、Dホイールの色から白と赤。
買い替えても、この色が遊星の歯ブラシだ。
だから増えているまだ新しいこの水色の歯ブラシが、誰を連想するのかなんてわかってる。


たぶん向こうには、黄色い歯ブラシが増えているんだろうな。


遊星は優しい顔で笑った。





コップに立てられた歯ブラシが、1本多いことにジャックは気が付いた。
水色の歯ブラシはこのポッポタイムで暮らす誰の物でもない。
しかし誰の物か、勿論ジャックにはわかっていた。
時々、シティにやって来ては用事のついでに顔を出して行く、アイツの物。
まったく、死んだり生き返ったり死にたがったり。
散々ウチの大事な幼馴染を振り回しておいて呑気なものだ。
とは言え、後ろを振り返りながら歩くことなど、ジャックの本意ではない。
前を向き顔を上げて再び歩き出した彼奴を、しっかりやれと幼馴染が引っ叩く、それは勿論応援する。


泣かしたらただでは済まさんがな。


ジャックは高らかに布告した。





1本増えた歯ブラシに付いて、ブルーノはクロウに問いかけた。
「水色の歯ブラシなんて良くあったねぇ」
ワゴンセールで山積みになっていた歯ブラシは、原色の物が多かった。
「だって、あいつ、皆と同じじゃねえとすぐ僻むし。うっせーんだよ」
まるで言い訳のようにクロウは早口で捲し立てる。
濃い色ばかりの山の中から、あの水色を見つけるのは難しかっただろう。
水色の歯ブラシが誰の為の物かなんて、ブルーノだってわかっていた。
鬼柳京介。
彼の為だけにクロウはあの水色を選んで買って来たのだ。
可愛いところがあるよね、とブルーノは思う。


こういう顔が見たくてわざと僻んでみせてるんじゃないのかな。


あまりにニコニコしていたらしい。
照れかくしに振り回された手に、ブルーノはボカリと頭を叩かれた。





END

 



京クロ
歯ブラシとポッポタイムの皆さん
遊星→見守る。
ジャック→見守る。が、何かあったら殴る気満々。
ブルーノ→余計なことを言って叩かれる。
というカンジ(笑)

フツーに京介が泊りに来てる脳内設定でスイマセン・・


2010.09.19

 

 

>戻る