昼に仕事から一旦ポッポタイムへ戻るとブルーノしか居なかった。
途中で買った昼飯を紙袋ごとテーブルに置いて、おかえりと笑うブルーノに訊く。
「遊星居ないんか」
「うん、ゾラの知り合いに修理頼まれて出掛けて行ったよ」
すぐ帰ってくると思うけど、とブルーノは付け足した。
ジャックは何処で油を売っているのやら。
向かいの喫茶店で馬鹿高い珈琲を飲んでいたら、速攻行って殴ってやるのだが、今日は居なかった。
「お昼、先に食べてくれって言ってたよ」
ブルーノが遊星からの言伝を告げた。
午後からも配達の仕事がある都合もあるので、クロウはその言葉に従うことにする。
時間指定というモノは利用してる方からしたら便利だろうが、此方側からしたら多少面倒な代物だ。
とは言え、この仕事はブラックバードにも乗れるし、結構気に入っているので辞める気はない。
大分復興したとはいえ、まだまだ物資の少ないあの街へ出掛けるいい建前にもなっているし。
仕事を口実に使っていることなんて、幼馴染達にはばれている気もするが。
そんなことを考えながらテーブルの上に置いた紙袋を探る。
今日の昼食はサンドウィッチだ。
安くて美味いパン屋がある、とゾラが教えてくれたので寄ってみたのだが、確かに安かった。ボリュームもある。
「ハムと玉子とチーズ、どれがいい?」
「ハム!」
サンドウィッチを手に問うと、元気な声が返ってきた。
ブルーノにハムを渡してやって、自分は玉子のビニールを開ける。
なかなか美味しい。
近いし値段も気に入ったし、また買いに行ってもいいな、時間がありゃ食パン一斤買ってきて自分でサンドウィッチ作ってもいいし、などと思いながら冷蔵庫からオレンジジュースを出す。
ブルーノがマグカップをテーブルに用意してくれた。
2つ並んだカップにジュースを注ぐ。
丁度二人分しかなかったが、遊星は牛乳の方が好きだから問題ないだろう。
ジャックはインスタント珈琲でも飲ませておけばいい。
「玉子も美味しそうだねぇ」
リサイクルに出すためオレンジジュースの紙パックを開いていると、ブルーノが此方を見て言った。
「食うか?」
「ハムも食べる?」
ひとつのビニールに二つ入りだったから、残っていた分を差し出してやると、ブルーノはハムと取り替えてくれた。
「うん、玉子も美味しいね」
玉子サンドを齧ってブルーノが言う。
「なんか人の食べてるモノって美味しそうに見えちゃうよね」
「あー、あるあるそういうの。なんか美味そうに見えるんだよなぁ」
同意するとブルーノは唐突に、ああそうか成程!と言った。
クロウを見てにこっと笑う。
「クロウもいつも鬼柳さんに食べられてるから美味しそうに見えるんだね!」
「・・げほっ」
思ってもみなかった言葉に飲もうとしていたジュースに咽る。
「だ、大丈夫?クロウ」
咽て咳をするクロウの後ろでオロオロするブルーノは、自分の発言のせいであるとは少しも思っていないようだった。
END
京クロ+青野
天然時々爆弾発言青野(しかし悪気はない・笑)
人のものって美味しそうに見えるよねってハナシでした(^−^)
青野が今後どうなるかわからないので
青野ネタは早く消化しようと思った。