■ウサギ(京クロ)■

京クロ
ポッポタイムで何かいちゃいちゃ。









 


さっきから退けだの離せだの、そんなことばかり言っている気がする。
ちっとも人の言うことを聞かない背中に張り付いた京介に、何度目かの文句を言うと、奴は無駄にいい顔で笑った。
「だってオレ寂しいと死んじゃうウサギちゃんだから」
「ふざけんな。蹴るぞ」
上げた足を寸でで避けて京介が騒ぐ。
「って、足癖悪いな!蹴るぞって言いながらすでに足出てるじゃねえか」
「やかましい。火と刃物扱ってる時はウチのチビ共だって危ねえからじゃれてこねえぞ」
食事の支度中なのだ。
そもそも実は今日はクロウの当番ではない。
京介がやって来たからわざわざブルーノと交替したというのに、また阿呆なことを言う。
「だって寂しがり屋のウサギちゃんだからさ」
「ウサギちゃんとか自分で言うな。キモイ」
いい年こいた男が自分で自分をウサギちゃんと称するなんてキモイ以外の何ものでもない。
そう言うと京介は不満そうに、でも、と言った。
「でもウサギは最近シティでは人気のペットだって聞いてるぜ。飼いやすいし、餌代かからねえし」
「そういやカーリーがそんなこと言ってた気がするな。ネットで買ったウサギの餌とか運ぶ仕事も何回かあったし」
カーリーはアレでも記者だし、流行だのそういう話題には敏感な筈だ。
実際、ウサギ関係の荷物を運ぶ機会も何回かあったし、人気のペットと言う話も強ち嘘ではないのだろうと思う。
「な?」
だから飼わねえ?などと京介は笑う。
父親を失った2人の子供の面倒を見て、街では責任者として復興に取り組む男の本気ともとれる冗談に、クロウも軽く返す。
「ウチはすでにニートが一人と機械オタクが二人も居るからウサギは飼えねえよ。つかお前、一番手がかかるじゃねえか」
「飼わなくていいからも少しかまえって」
「今、飯の支度してるんだっての」
誰の為に作ってると思ってるんだ。
早く作らないとそろそろ腹の減った連中が様子を見に上がって来るだろう。
そんな時にべたべたされていたら恥ずかしくてやってられない。
もう五月蠅いウサギは無視してチャッチャと作ってしまおう。
そう決めたクロウは、しかしその決心を貫くことが出来なかった。
京介の手がするするとエプロンの紐を引っ張ったからだ。
「・・っ!エプロンの結び目を解くな!!」
「したままでもいいけどな」
「ふざけんな馬鹿!後にしろ後に!!」
「後でな!絶対だぞ!」
言質を取った、とばかりに京介はクロウから離れる。
そうして今までの鬱陶しさが嘘のように、皿を並べるなどして手伝い始めた。
鼻歌でも歌いそうな機嫌の良さだ。
ようするに、『後で』という確約を取っておきたかったらしい。



今夜は長そうだ。






「ブルーノ、手伝いに行ったんじゃなかったのか」
上の様子を見に行って、戻ってきたブルーノに遊星は聞いた。
今日の食事当番はブルーノだった。
しかしクロウが代わってくれたのだ。
京介が来たからだ、とわかっている為、ありがたく交替して貰ったのだが、少し手間取っているようだ。
其れでブルーノは手伝うべきか、と様子を見に行ったのだった。
「うん、でもやっぱりお邪魔みたいだから」
成程、時間がかかっているのはそういう訳か、と遊星も納得する。
ブルーノは言った。
「韓流ドラマみたいな会話してたからもう少しかかるんじゃないかな」
「韓流ドラマ・・」
「あ、昼メロって言うの?なんか爛れたカンジの会話」
爛れた。
夕方に放送している韓流ドラマを熱心に見ているのは知っていたが、この記憶喪失Dホイールオタクは、妙なことも学習しているようだ。




とりあえず、クロウには直接言わないで欲しいと願わずにはいられない。






END


 



京クロ。
ポッポタイムでなんかいちゃいちゃ。
夜の予定を確実にしておきたかった町長。
ポッポタイムだと他に人居るし
壁が薄そうだから
なかなかサセテもらえないんじゃないかと思って(^^ゞ

夕方韓流どらまやってるんですけども
時間が合うとついつい見てしまう(笑)


2010.12.12

 

 

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