「好きだ」
一世一代の大告白のつもりだったが、相手はそうはとらなかったらしい。
一瞬キョトンとした顔をした後、ニパッと笑ってこう言った。
「そうか、オレも好きだぜ」
やっぱりな。
男同士で好きだのなんだの言ったって、友情以上にとってくれる筈が無い。
というか、普通はとらないだろう。
思った通り、予想の範囲内だ。
「そうじゃなくって」
だから、シュミレーション通り、次の言葉を告げる。
「愛してるってイミの好きだって言ったらどうする?」
この言葉にどう反応するか、此れは予想出来ない。
怒るだろうか、笑い飛ばすだろうか、冗談だと思って相手にしないってのも考えられる。
下手をすると今後無視されるかも。
サテライトじゃ男同士ってのもナイ話でもないから、クロウだって知識くらいは多少あるだろう。
ただ、自分がその対象になるなんて考えたことが無いだけで。
さあ、どうする?
「どうするって・・」
クロウはオレが本気で言っているのだとわかったのだろう。
しばらく視線を泳がせた後言った。
「・・どうしよう」
何事も単純明快、デュエルに関しては一筋縄ではいかない相手なのでその限りではないけれど、普段のクロウははっきりものを言う奴であったから、心底困ったと言うその表情に、うっかりオレは満足してしまった。
クロウにこんな顔をさせることが出来るなんて、きっとオレだけに違いない。
***
「好きだ」
もう半分眠りに落ちかけていると言うのに突然コイツはそんなことを言いだす。
こっちは遠路遥々やって来て、その上アレで疲れているのだ。
「・・それ、今言うか?」
今更。
というか、むしろさっき最中に言うべきだったんじゃないのか。
ぐしゃぐしゃになったシーツをとりあえず手繰り寄せて、オレはもう寝るぞ、とアピールしてみる。
そんなことも気にせずに鬼柳は言った。
「今『好き』って言って欲しかったのに」
拗ねてるような、甘えてるような。
そんな表情を乗せて鬼柳が笑う。
この街の住人は、町長のこんな顔を知らないに違いない。
「どうすっかな」
オレは意地悪くニヤッと笑って、考える素振りを見せた。
そんなのが振りだけだって、鬼柳ももうわかってる筈だ。
END
京クロ
クロたんが「どうしよう」とか言ったら
可愛いかなと思って。
デレとツンみたいになった(笑)