■空を飛べるはず(京クロ)■

京クロ
今更ながら出会いを捏造してみた











 


崩れかけた廃ビルの上に誰か居るのはわかっていた。
絡んできたチンピラ共の仲間かな、と思ったから一応警戒していただけだった。
けれど、そいつは空が飛べたのだ。


そろそろ寝座に戻ろうかと思った帰り道、つまらないことで因縁つけられた。
数人で取り囲んで逃がさない隊形だ。
最近名が売れ出したオレのことが気に入らないらしい。
まあ出る杭は叩かれるもんだよな、わかる。
話し合いが通用するような相手でもなさそうだ、となると手っ取り早く済ませる手段はひとつ。
「デュエリストなんだろ?だったらデュエルで決着付けようぜ」
リーダーらしい奴を見据えてそう言うと、向こうもデュエルディスクを装着した。
絡んできただけあってちょっとは腕の立つ奴ではあったが、割とあっさり決着はついた。
「オレの勝ちだ」
宣言した処で相手がデュエルディスクを放り投げた。
数にモノを言わせてデュエルじゃなく拳で言うことを聞かせようってヤツらしい。
まあ手下共にカッコ良いトコ見せたかったんだけど当てが外れて頭きた、ってトコだろう。
此れも予想の範囲内だったけれど、大人数相手に立ちまわり演じるのは避けたかったというのも本音だ。
正直面倒くさい。
5人、それに屋上に居るヤツ。
ただの見物客なのか、それともやっぱり奴らの仲間なのかわからないけれど、後者と見て用心しておいた方がいいだろう。
最初の奴が殴りかかってきた瞬間、上に居たヤツが動いた。

バサ、と羽音がした、気がした。
実際は飛び降りてきた時に来ていたジャケットが風を受けて音を立てただけだったようだが、確かに鳥が羽ばたく音が聞こえたと思ったのだ。

そんなに高さのある廃ビルでは無かったが、あそこから直接飛び降りてくるとは思わなかった。
無茶苦茶な奴だ。
その身軽さが羽があるかのような錯覚を呼んだのだろう。
殴りかかってきた奴目掛けて飛び降りてきたのは、少年だった。
オレンジ色。
其れが第一印象。
小さいし、多分年下。
12・・13歳くらいだろうか。もう少しいってるか?
狙い違わず一人目を落下の衝撃を和らげるためのクッションにしたオレンジ色は啖呵を切った。
「コイツがデュエルで勝っただろうが!」
どうやら味方してくれるつもり、らしい。
無残にも容赦なく踏みつけられた男を憐れに思いながら2番手を殴り飛ばした。
小柄なオレンジ色はその体型と機動性を存分に生かして活躍してくれた。
おかげでそう殴り返されることも無く奴らを沈めることが出来た。
ありがたい。
「サンキューな」
拳を突き出すと嬉しそうにちょこちょこ寄って来て自分の拳を合わせてきた。
なんだこいつ、可愛い。
「お前、強いな!」
ニコニコ笑ってオレンジが言う。
「なあオレとデュエルしようぜ」
デュエル大好き!ってカンジだなおい。
可愛い。
「いいぜ」
そう返事をすると更に嬉しそうにニパッと笑った。
可愛い。
「オレ、クロウっつーんだ。お前は?」




クロウ・・・烏。

成程、だからコイツは空が飛べるんだ。
だって羽を持っているんだもの。

 

 

 





今考えると実に阿呆な話だが、その時は至極あっさりとそう納得してしまったのだ。





END




京クロ
今更出会い捏造
無自覚な一目惚れ(笑)
クロたん目線も書きたいです。

つかさー満足組時代クロたん14歳・京介17歳て!!
三歳差て!!!
萌えるわー







2011.04.17

 

 

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