遊星、ジャックの2人とクロウは幼馴染なのだという。
遊星たちと知り合って、二人の暮らしていた孤児院のような処にクロウがやって来てからずっとまるで兄弟のように育ったという。
仲が良いのは傍から見てもよくわかる。
しかしクロウ的には不満な面もあるようだ。
「あいつら、オレのこと餓鬼扱いしすぎだっての!」
幼馴染とはいっても年齢は一つづつではあるが差があって、クロウが一番年下なのだ。
正直この身長で連中の中でクロウが一番年上だったら、ちっとばかし可哀相だな…と思っていたので見た目通りの年齢差だったことにホッとした、のは勿論本人には告げていない。
つまりが子供扱いが面白くないのだ。
わかる。
遊星たちに言わせればクロウは幼い頃から小さくてハウスに慣れるまでは大人しい子供だったからどうしても保護対象になってしまうのだそうだ。
オレ達で守ってやらなくてはと思ってしまうらしい。
それもわからないでもない。
ジャックなんかああ見えて子供の面倒見いいしな。
しかしまあオレから見れば過保護じゃないか、と思う訳で。
クロウは小柄なせいか身が軽いしすばしっこい、オマケにデッキは速攻重視のBFだ。
オレがリーダーじゃなくったって、チームを組むとしたら先鋒はクロウだろう。
先鋒が危険なのは百も承知だ。
クロウを危険な目に合わせない為に計画を練り、発信器を仕込み、準備の上でデュエルに臨んでいるのに、幼馴染達は不服そうだ。
奴らがどんだけこの小さな末っ子を愛しているかわからないではないけれど。
処がクロウ本人はオレが先鋒を命じたことが嬉しくて仕方ないらしい。
危険だけれど適正のある重要な仕事を任されたことが嬉しかったようだ。
鉄砲玉の異名も気に入ってる様子だ。
「鬼柳はオレを餓鬼扱いしねえ」と思ったらしい。
一人前の男扱いされたと思った、ってトコか。
どっちにせよ懐いてくれたのは此方としても嬉しい処だ。
そう、最初はなかなか寄って来なかった子猫が懐いてきた、くらいの感覚だったのだ。
懐いてくれば小生意気な子供も可愛く思えるものだ。
実際可愛いのだ。
今日もクロウはジャックに馬鹿にされたと人の所に来てぶうぶう言っている。
遊星がこの間直したテレビを見ていたらドラマの中でキスシーンがあったらしい。
ジャックが其れを見て子供には早い、とクロウを追い出したというのだ。
そういうシーンを子供に見せたくなかったらしい気持ちはわかるが、ジャック、それすでにお兄ちゃん通り越して親の発想だぞ。
お父さん息子さんをオレにください!とか言ったらぶん殴られそうだ。
「あんな子供みたいなキス、見たって何とも思わないっつの」
「まあああいうのはしてるフリだけってのもあるからなあ」
「だよな!」
同意してやると、我が意をえたり、とばかりにクロウは上機嫌だ。
膝も顔も近い。
近いよお前。
ちょっと前まで本当に懐いてきた子供が可愛いなくらいな気持ちだったというのに、自分でも吃驚だ。
こんな色気もクソもない子供の一挙一動に振り回されてる。
クロウはまだキスについての話をしている。
ソウイウコトに興味が出てくるお年頃だ。
ちょっと悪戯心が沸いた。
「じゃあさ」
「大人のキス、してみるか?」
「えっ…」
クロウの顎を取ってそっと自分の顔を近づける。
「ぎゃあ!」
色気も何もあったもんじゃない悲鳴。
クロウはオレを両手で突き飛ばすと真っ赤になって逃げてしまった。
勿論冗談で、本当にするつもりは無かった、と思う、多分。
でも真っ赤になったクロウが可愛いと思う辺り本当に末期だ。
「何事だ!」
クロウの悲鳴を聞きつけた、お父さんことジャックの怒鳴り声が聞こえたけどとりあえず気にしない。
END
京クロ
お父さんジャックに殴られるフラグ(笑)
そして相変わらず14歳クロたんに夢持ってる私だ(^^ゞ