ベッドの上で目をキラキラさせて、大きな声で元気にクロウが言った。
「オレ、突っ込む方がやりたい」
「…んんっ?」
何といいましたかこのお子様は。
それは大きな声で言っていいことじゃないだろ…じゃなくて。
オレは笑顔で首を傾げる。
「突っ込む方がやりたい」
再びクロウは元気に言った。
残念ながらさっきの台詞は聞き間違いじゃ無かったようだ。
元気なのは可愛いけれど、頼むからもう少し小さな声で。
過保護で暴力的な保護者がやってくるだろ。
そうしてもう一度クロウの言葉を頭の中で反芻してオレは笑顔のまま固まった。
何を言い出したんだかこのお子様は。
まあそのお子様が可愛くて可愛くて好きで仕方無くて、此れからアレやコレや保護者に見つかったら絶対に鉄拳制裁だけでは済まないようなことをしようとしてるわけなんですけども。
ようやくここまで漕ぎつけたというのに、またもや壁にぶつかったわけだ。
お子様の攻略は難しい。
…つか突っ込む方ってアレだよな。
「いやいや其れはオレの役目だから」
「なんで」
何でって言われても。
男同士なんだからどっちだっていいじゃねえか。
クロウの言い分は尤もだ。
ぶうと頬っぺたを膨らますクロウは大変に可愛らしいけれども、此処で可愛いからと言って絆される訳にはいかない。
断じて。
此処は得意の話術で丸めこむ…じゃない説得するしかない。
「いやあのな、オレだって年上の面子ってもんがあるんだよ」
「メンツって何だ?」
クロウは首を傾げる。
「ええと体面とか…誇りとか、そんなカンジのもんだ」
「ホコリか」
「そうだ誇りだ」
それはデッキと同じくらい大事なもんだな、とクロウは頷く。
どうやら言い包めることに成功したようだ。
よし!とガッツポーズを作るオレの後ろで恐ろしい声がした。
「鬼柳、貴様何をしている」
オレの背後に鬼のような形相の保護者ことジャックが立っていた。
仁王立ちとは正にこのことだろう。
今日も攻略失敗だ。
END
京クロ
やっとベッドへ連れ込んだのに失敗する京介(笑)
やっぱりお父さんなジャック(^^ゞ
そしてまだ14歳に夢見てる私(笑)