■枕(京クロ)■

京クロ。
満足時代。
たまには京介さんにいい思いをさせてあげないと、というわけで。











クロウの隣で京介が大きな欠伸をした。
昨日は離れた地区まで遠征して、帰りが遅かったせいかもしれない。
「眠いのか?鬼柳」
「んー」
京介は目を擦って曖昧な返事をした。
そしてもうひとつ欠伸をする。
疲れているのかな、とクロウは思った。
京介はこのチーム・サティスファクションのリーダーだ。
個性の強い面々を纏めるのに気苦労もあるのかもしれない。
普段はそんな様子、微塵も見せないが。
「眠いなら寝ろよ。そういう時は我慢しないで少し横になった方がいいんだってさ」
眠いのを無理に我慢するより、少し寝てからの方がすっきりするから作業が捗る。
遊星の受け売りだ。
「・・じゃあ、お言葉に甘えて少し寝ようかな」
そう言って京介は部屋の片隅にあるソファに座った。
古いものだが、一人くらいは眠れる大きさだ。
そうしてちょいちょい、とクロウを手招きした。
「なんだよ?」
此処、と京介は自分の隣を指さして、座れ、と要求する。
「?」
言われるまま其処へ座ると、京介はクロウの膝の上にころりと横になった。
所謂、膝枕だ。
膝の上の頭をクロウは容赦なく、がつん、と殴ってやった。
「痛っ」
飛び起きた京介は頭を押さえて恨めしげに唸る。
「何、人の膝、枕にしてんだよ」
「こういう時は膝枕だろ」
「何でだよ!」
まったくウチのリーダーときたら時々訳がわからない。
こういう時は膝枕、なんてどこの常識だ。
疲れてるのかもなんて心配してやるんじゃなかった。
「オレ、枕が変わると眠れない性質なんだよ」
「じゃあ自分の部屋行って寝ろ。いつも人の膝を枕にして寝てるみたいな言い方すんな」
出口を指してそう言ってやると京介は大変不満そうな顔をした。
じっとクロウを見つめてくる。
「・・・な、なんだよ」
普段はお喋りの部類に入る男が黙っていると、なんだか調子が狂う。
沈黙に耐えきれずに問うと、京介は言った。
「此処で寝る」
言うなり再びクロウの膝を枕にして横になる。
「おい」
クロウは拳を握り締めて言った。
なんでこんなに懲りないんだ。
さっきかなり容赦なく殴ったつもりだったが。
学習能力がないのか?
「・・30分だけ」
クロウの呼びかけに、そう言って京介は目を閉じてしまった。


伏せられた睫毛が頬に影を落とし、白い肌をさらに青白く見せる。
やっぱり疲れているのかもしれない。


クロウはもう一度殴ってやろうとして上げた手を、そろそろと下ろす。
膝枕なんてそんなこっ恥ずかしいこと、なんでしてやんなきゃならないんだ、と内心毒づく。
だいたい膝枕って男にやってもらうもんでもないだろう。
可愛い女の子にやってもらうものではないのか。
こいつ、オカシイ。絶対オカシイ。
だけどもう殴れないのだ。
仕方がない。
「30分立ったら、叩き起こすからな!」
膝の上の京介が微かに頷いた。


気のせいかその横顔が嬉しそうに見えて、クロウはうう、と唸った。



END





京クロ。
膝枕して欲しい京介と
結局甘やかすクロウたん(^−^)
この後一緒に寝ちゃって足痺れて立てなくなるといいと思います(笑)


2008.12.21

 

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