ブラックバードデリバリーの帳簿というか、ポッポタイムの家計簿を付けるクロウの側に陣取って、名前を呼ぶ。
「クロウ」
「何だよ」
「好き」
そうやって、何回目かの繰り返しの後、赤くなったクロウが叫んだ。
「うっせーよ、オレは仕事してんだ!ごちゃごちゃ言わずに黙ってろ」
黙ってろと言われても、仕事のついでとはいえ、せっかくシティにやって来たというのにクロウが構ってくれないのはあまりに寂しい。
むしろ仕事がついでで、クロウを構う為に来ているというのに。
遠距離恋愛なのだから、せめて側に居る時くらいいちゃいちゃしたいではないか。
しかしクロウは大変な照れ屋さんで、素直に好きとはなかなか言ってくれない性質だ。
とは言え此処でしつこく絡んでクロウを怒らせると、この後益々態度を硬化させてしまうことになるのはわかっているので、仕方ない、黙ることにした。
「わかった、黙ってる」
その後しばらく京介は帳簿をつけるクロウを大人しく見ていた。
ただただ、じっと見る。
クロウ可愛いなあ、などと思いながら。
「だあ!!」
クロウが鉛筆を放り投げた。
今度は視線が気になって仕方ないらしい。
「見てんな!!」
「…じゃ、あっち行ってるな」
しょうがない、と立ち上がったらクロウにコートの裾を掴まれた。
「……行くな」
喋っちゃ駄目、見ていても駄目。
けれど何処かへ行ってしまうのも駄目、此処に居ろ、だなんて。
なんて可愛い恋人の我儘なんだろう!
「んじゃ間を取ってこうしよう」
京介はクロウを自分の膝の上に抱き寄せた。
触ったら駄目とは言われてない。
「何処が間だ!」
此れじゃ仕事出来ねえ!!
クロウはやっぱり怒ってぎゃあぎゃあ言っているけれど、此れ以上大人しく言うこと聞く気もない。
早く恋人と楽しい時間を過ごしたい。
階下に居る同居人達が空気読んでくれている間に、3階のクロウの自室へ連れ込みたい。
さっさと諦めて大人しくなって欲しいものだ。
END
京クロ
諦めなくても連れ込むだろう(笑)