■おでこ(京クロ)■

京クロ
満足時代













 


情報と照らし合わせながら敵のアジトの地図をそう広くも無い机に広げ細かく書き込んで作戦を練る。
情報はいくらあっても足りないくらいだ。
力押しで負ける気は無い、けれど力押しだけでは勝てない事も知っている。
だから作戦を考えるのは重要なリーダーの仕事だ。
特に先鋒を任せるクロウの身に何かあったら大変だ。
割と過保護なクロウの幼馴染達も五月蠅い事だし、用心して完璧な作戦を作っておくに越したことは無い。
そうやって机に向かう事数十分、集中しては居たが、誰かが部屋の外をうろうろしているのは気が付いていた。
この自分達のアジトは遊星が作ったセンサーなどを配置して外部からの侵入者はすぐにわかるようにしてあるが、きちんとしたドアのついた部屋はほとんど無い。
だから部屋の外に居るのが誰か、なんてすぐにわかる。
クロウだ。
もっとも足音で其れは見なくてもわかっていた。
頭を使うことよりも動く方が得意なクロウは、京介がこうやって机の前に居るとあまり寄って来ない。
最終的に作戦が仕上がって、其れから自分のやる事だけしっかり頭にたたき込めばいい、と思っているようだ。
だから部屋の前を行ったり来たりして此方の様子を窺っているのは大変珍しい事だと言えた。
「何だ、どうしたクロウ?」
声をかけるとクロウは部屋の中へ入って来た。
用があるのは確かなようだが、うんとかうーんとか生返事をしつつ、なかなか切り出さない。
相変わらずうろうろと京介の様子を窺っている。
作業が終わるのを待っているようだ。
どうにも気になって仕方ない。
自分の好きな子が自分の部屋で何か言いたげにもじもじしていたら、そりゃあそっちを優先するってもんだろう。
ちっとも進まなくなった作業を終了させて京介は顔を上げた。
上げた途端、クロウは机越しに身を乗り出してきた。
ぐい、とバンダナを引き下される。
「えっ…」
「やった!」
自分の額に触れた其れが何か、一瞬分からなくて呆ける。
今、デコにちゅってされた?
吃驚して固まったままの京介を余所にクロウは大喜びだ。
曰く、何時もされているから仕返し、なのだそうだ。
やり返したいけれども、京介が立っているとクロウはおでこに其れが出来ない。
其処で座っているときを狙ってやろうと思い付いたのだという。
いや仕返しって、その言い方何か違くね?とか。
ああうん、お前ちっさいもんな…とか。
賢明にも京介は口に出さなかった。
そんなことを言ったらこの上機嫌の可愛い烏が臍を曲げるに決まっているからだ。
その代わり、口を衝いて出た言葉は。


「も、もっかい!今度は口に!!」


何処が賢明なんだ、と後で自分で突っ込み入れる羽目になる。







END





京クロ
でこちゅうされる京介(^−^)


2012.05.06

 

 

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