■何の為(京クロ)■

京クロ
満足組時代













 

屋上の堅い床の上に寝転がって空を眺める。
サテライトの空はいつでも薄汚れて濁っているけれど、まあいい天気だ。
特にやることもなくぼんやりただそうしていると、どうでもいいことを考えだしたりする。
人間て何の為に生れてくるんだろう。
なんて哲学的。
同じ人間に生れて来ても、シティで生まれたってだけで親に愛されて何不自由なく暮らしていける奴と、此処で生まれたってだけで親も知らないで生き延びることだけに必死になってる奴と居る訳で。
前世の因縁とかそんなもの信じる気はさらさらないけども、もしかしたら行いの悪さとか関係あるのかもしれないとか、阿呆なことを思ったり。
そんな阿呆なことを考えていたらクロウがやって来た。
「鬼柳〜飯だぞー」
もう昼の時間らしい。
ほれ、と投げられた握り飯をキャッチする。
まん丸い。
此れはクロウが握ったな。
クロウはオレの横に座って同じように握り飯に齧りついた。
サテライトの薄汚れた空の下で、廃墟と化したビルに屋上に並んで座っておにぎりを頬張る。
もふもふ。
クロウは実にうまそうに握り飯を頬張っている。
握り飯は塩の加減が絶妙で形は丸いが確かに美味い。
美味いのに阿呆な考えはなかなか頭から離れてくれない。
見晴らしのいいトコに居ると、なんだか自分がちっぽけに思えるのは何故だろう。
オレは一体何してるんだろうって気分になるのはどうしてだろう。
人間なんて食べて出して寝てを繰り返してるだけだよなぁ。
人間て何をするために生まれてくるんだろう。
独り言のようにぼそりと言ってみたら、クロウはんんーと少し唸った。
そうして指に付いた米粒を全部舐めとってから、にっと笑って言った。


「デュエル!」


そうしてデュエルディスクを構えて見せる。
思わず笑った。
オレはデュエルをする為に生れてきました、ってか。
「…そっか、そうだよな!」
コイツは本当になんて可愛いんだろう。

 



それじゃオレも次の作戦を立てるとしますか。

デュエルをする為に生れて来た、クロウの為に。


 

 




 

END





京クロ
無駄に哲学する京介と14歳クロたん






2012.12.01

 

 

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