■言わない(京クロ)■

京クロ。
ダグナー。
クロウたん捕まってます(^^ゞ










「なァクロウ、オレのこと、好きだって言って?」
その執着がお前を此処に縛り付けるのなら。



「飛んで火に入る夏の虫、とか言うけど、クモの巣に引っ掛かる鴉ってのも間抜けな話だなァ?クロウ」
「うるせーよ、糞ったれ」
薄暗い部屋に両手を後ろに縛られて転がされたクロウは、京介を睨みあげて毒づいた。
足は自由だが、手が不自由なせいか、上手く起き上がれない。
楽しそうに京介が笑う。
「何しに来た?『鉄砲玉クロウ』?」
懐かしい呼び方で京介は言った。
「見たトコ発信機もないようだし、まずは偵察ってトコか?」
クロウの傍に屈みこんで、京介はその髪を掴んで引き上げる。
引っ張られた痛みに顔を顰めるクロウを覗き込んで京介が言った。
「遊星のためか?相変わらず仲間思いなこったなァ」
間近で見るその黒い眼はただ昏く、闇以外に何も見えない。
「違う。オレのためだ」
クロウは言った。
「は」
その答えに面白くもなさそうに京介は唐突に手を離した。
クロウの身体は再び冷たい床に放り出される。
「大事な仲間を傷つけたオレを許せなくて、仇打ちにでも来たのか?」
「そんなんじゃねーよ。まあ一発くらいはぶん殴ってやろうとは思ったけどな」
京介は高く笑った。
「お前は変わらないな、クロウ」
その笑いが収まるのを待ってクロウは聞いた。
「鬼柳、お前一体何がしたいんだよ?」
「何って、言っただろう?オレは遊星を、お前たちを地獄へ突き落してやりたいんだ」
「オレ達が死んだらそれで満足なのかよ」
「ああ、そうだ。その為だけに黄泉返って来たんだからな」


その為、だけに。
黄泉の国から戻ってきたと。


「・・・そうかよ」
「・・・クロウ、お前、オレが死んで悲しかった?」
暗く沈んだクロウの声をどう取ったのか、先ほどとは違う優しい仕草でクロウを抱き起こし、京介が問う。
「知らねーよ」
「泣いたのか」
「泣くか、馬鹿」
「少しは泣いてくれたらいいのに。薄情者」
覗き込む黒い眼は、先ほどとは違う色を覗かせている。
それが何なのか確認する前に、ぐい、と引き寄せられた。
押しつけるように、唇を塞がれる。
「っやめろ、馬鹿」
自由な足で蹴ってやろうとしたがその前に突き放された。
床に倒れたクロウに馬乗りになって、京介が言う。
「相変わらず足も手も早いなァ、クロウ」
そのまま顔を近づけてきた。
耳元で囁くように問う。
「なあクロウ」

「オレのこと、好きだって言って?」



亡者が地上に焦がれるのは、その地にまだ執着があるからだという。


その未練が無くなったら
死者は一体何処へ行くのだろう。




「オレのこと、好きだって言って?」

その執着がお前を現世へと縛り付ける鎖になるなら。
絶対。


「言わない」










お前なんか、大嫌いだ。






END







京クロ。
カーリーがアレでダグナーは皆鬼籍のヒトなのかと思ったら
京介もクロウを思いながら死んでったんじゃないか、とか
ダグナーって復讐とか全部終わったらどうなっちゃうの?しぬの?とか
いろいろ考えてしまいましたよ。
クロウたんは満足時代いくらコクっても「好き」とは言ってくれなかったと思う。
それが心残りなの。

もーほんと妄想がひどくてすいません。


2008.12.21

 

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