■初めが肝心(京クロ)■ 駄目社会人京介×保育士クロたんのシリーズ 京介焼きそばを作るの巻 今までの話はこちら >それともわたし?
京介は休みだけれど、クロウは通常出勤だ。
そんな土曜の仕事を終えて、さあ早く帰ってやんねえとアイツうっせえしな、なんて思いながら帰り支度をしていて携帯が点滅しているのに気が付いた。 メール着信。京介からだ。 『お疲れ様クロウ。帰りに紅しょうが買ってきて〜』 添付された写真には皿から零れそうなほど山盛りに乗せられた焼きそばが映っている。 「どんだけ作ったんだアイツ」 クロウは噴き出した。 引っ越して、一緒に暮らすようになってから、時々こうやって京介も料理をするようになった。 いい傾向だ、と思う。 昔まだクロウが学生だった頃、バイト先のコンビニに判で押したように同じ弁当を買いに来ていた京介。 ただ、買っているだけで、食べていないのではないかと思っていた。 つまらなそうに、買って行くだけ。 それほど食べることに、いや他の何に対しても、まったく興味がないように見えた。 自分自身に対してさえ。 だから、こんな風に作るようになるなんて凄い進歩だ。 例え後片付けが大変でも、此処は褒めておくべきところだ。 子供と一緒だからな、アイツ。 子供は褒めて育てろ、とよく言うが、京介もあれは図体のでかい子供だ。 褒めて伸ばしてやらなければならない。 遊星にこの話をしたら、そういうのは旦那の教育というんだ、と言われたが。 最初が肝心、なのだそうだ。 それは実体験からの言葉だろうか。 それにしてはジャックは傍若無人を絵に描いたようなヤツだが。 とりあえず旦那の教育云々は頭から追い出して、クロウは返信した。 夕飯を作ってくれたことに対しての礼も忘れず添える。 褒めて伸ばす。最初が肝心! * あの様子では焼きそばオンリーだろうとアタリを付けて、野菜も買って帰る。 バランス良い食事というのは難しいが、心がけるに越したことは無い。 「おかえりなさーい。ご飯にする?お風呂にする?それともワ・タ、ったー!!」 玄関先で出迎えた京介が、くるくると回りながら阿呆な台詞を言おうとしたので脳天にチョップを食らわせてやった。 そのひらひらしたエプロンはなんだ。 一体いつ買ったんだ。 オレは絶対使わないからな! 「定番だろー!言ってみたかったのに!!」 「阿呆か」 ぎゃんぎゃん喚く京介を無視して洗面所へ向かう。 手洗いうがいを済ませて、戻ってくると、京介は買ってきた紅しょうがをてんこ盛りの焼きそばの上に適当に乗せている処だった。 クロウはついでに買ってきた野菜を洗って、サラダを作る。 そうして其処で和室の違和感に気が付いた。 この部屋は2LDKで台所兼リビングの此処と、5帖の洋室、そして6帖の和室で構成されている。 不動産屋の喧嘩した時の為に二部屋あった方が良いですよ、という助言に従って選んだ部屋だ。 クロウの部屋が洋室、京介の部屋が和室、ということになっている。 少し狭いがクロウが洋室を選んだのにはちゃんとわけがあった。 つまり、ドアにカギがかかる、のである。 いざとなれば自室に閉じこもって籠城って手段もアリなのだ。 何しろ京介ときたら24時間365日サカリの様な奴なので。 そう言う訳で、一応そのように部屋割りを決めたものの、何だかんだ言って、結局京介はクロウのベッドに潜り込んで来る。 てめえのベッドがあるだろ!と一辺キツク言っておかなければ、と思っていた矢先だった。 何しろ最初が肝心だ。 しかし、今そのベッドが無い。 和室だというのに、ベッドがいいベッドじゃなきゃ寝れねえ、などと我儘を言うので、購入したパイプベッドが無い。 「おい」 「ん?」 「ベッドどうした?」 低い声で問うと、京介はけろりと言った。 「リサイクルショップに売った」 「阿呆か!!」 思わず怒鳴るが、京介は全く悪びれることなく、しれっと言い放つ。
END
現ぱろ・京クロ 最初が肝心!ってすでに遅い気がするクロたんでした☆ 「ご飯にする?お風呂にする?それともワタシ?」と言って クロたんを出迎える京介(そして殴られる)を書きたかっただけ、という(笑) クロたんたちの新居は 入ってすぐ台所兼リビング 左手にトイレ洗面所風呂(風呂トイレ別・風呂は追いだき機能付き) その奥に6帖の和室 リビングの右手に5帖の洋室(収納が広い)(ベランダ付き)、となっております。駐車場もあるよ。本気でネット検索してみた(笑) この現ぱろは月一で書きたいと思ってはいるんですが なかなか書けずにスイマセン・・・; しかしまだ続きますので よかったらお付き合いくださいませ。
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