■返事は後で(京クロ)■


駄目社会人京介×保育士クロたんのシリーズ
告ってます







今までの話はこちら
>一目会ったその日から




「好きだ」
唇に触れたモノが、相手の唇だとわかるまでに数秒。
さらに、その後に続けられた台詞。
呆然としてしまっても無理はないと思う。



世間ではいろんな愛の形というものがあるが、男同士とかいうのを否定するつもりはない。
何しろ身近に居るからだ。
クロウの大切な、家族同然の幼馴染。
さすがに最初はかなり驚いたものだが。
ある日いつものように遊星の家に遊びに行き、勝手知ったる他人の家とばかりに上がり込み、ノックもせずに部屋のドアを開けたらば、中でジャックと遊星が熱烈な所謂ディープキスという奴を交わしていたのだ。
すぐに謝ってドアを閉めればよかったのだが、何しろ予想もしていなかった事態に吃驚してしまって、その場に固まってしまった。
まさに鳩が豆鉄砲を食らったような顔だった、とは後でジャックが言った言葉だが、自分でも全く否定も出来ない。
それくらい、とにかく驚いてポカーンと口を開けて入口の所に立っていた。
遊星が此方に気が付いて、ジャックから離れようともがきだして、ようやく我に返った。
わりぃ!と怒鳴ってドアを閉めて駆けだした。
でも本当に吃驚しただけで、男同士だからキモイとかそういうのは全然なかった。
遊星がジャックを好きなのはわかっていたし、ジャックも遊星のことは特別なんだろうって思っていた。
それは何だか自然なことのようだった。
そうなるのが当然のような。
ただ、ずっと3人で一緒に居たから、ほんの少し寂しい気がしただけだ。
そんなわけで本当にそういうのに対して否定的な意見はまったく持っていないのだが、自分が、となると少し話は違ってくる。
女の子とのフラグはちっとも立たないが、それでもいつか可愛い女の子と、という夢を持ってはいる。
焼き肉屋は高いから、遊星がジャックと暮らし始めた時に、持っていた小さなプレートを譲ってくれたのでそれで肉を焼く。
外食よりも基本的にウチごはん派だ。
久しぶりの肉を自分の口に運ぼうとした瞬間触れたものが、肉じゃなく目の前の男の唇だったら肉を取り落としても仕方ないだろう。
ああ、オレの肉。
まあまだテーブルの上だからセーフだよな。
じゃなくて。
それどころじゃなかった。
大抵の人間がハンサムだ美形だと評するであろう男はクロウを見て言う。
「クロウが好きだ」
いやキスする前に言えよ其れ。
つか肉食おうとしてる時に言うかフツー。
思考がどうしても言われていることよりも肉へ行ってしまう。
「クロウは?」
「え、」



クロウは?

聞かれて、考える。
好きか嫌いか、どちらか。
きっかけはクロウが京介にやった飴だった。
でもそれが初対面じゃない。
バイト先にやってきた客として顔を知っていた。
つまらなさそうに、何にも興味がなさそうに、いつも同じ決まったものを買っていく。
それだけ。


多分、その時から気になっていた。



その後、鍋に誘って、頻繁に飯を食べにくるようになって。
まるで其処に居るのが当たり前みたいになっていた。



「えっと、とりあえず肉食おうぜ」
その後、ちゃんと返事するから。



まずあの気になって仕方ない肉をどうにかしないと、最初からきっと好きだったなんてこと自分で認められそうもない。

 





END





 




現ぱろ・京クロ
実は一目惚れだったという(笑)
いやでもジャックと遊星たんを見て育ったクロたんが
メンクイじゃない筈がない!と主張したいのですよ。
最初は一目惚れでもいいの。
その後の付き合いでもっと好きになってくれれば。

京介は知り合った頃、不満足先生でした。
京介の方も一目惚れだと思う
その辺もいずれ。





2010.11.15

 

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