■わがまま言わせろ(京クロ)■ 現ぱろわがまま京介
鳴り始めた目覚ましをばしり、と引っ叩いて、クロウは眠そうに瞼を擦った。
脳内設定バリバリなので嫌な方はほんと見ないでね・・
土曜日の今日、京介は休みだが、自分は仕事だから起きなければならない。 身体を起こしたクロウの腰に、背後から京介が腕を絡めてきた。 邪魔する体勢だ。 「離せって。オレは仕事あんだよ」 京介は言った。 「今日は仕事行かないで。オレと一緒に居て」 腰にまわされた腕に力が込められる。 クロウは自分の仕事がとても好きだし、誇りを持っているので、唐突な京介の我儘に正直少し腹が立った。 「ふざけんな」 小突いてやろうと身体を捻る。 京介はそれを避けてクロウの手首を掴んだ。 かしゃん、と妙な音。 見れば己の手に手錠がかけられている。 「拉致監禁」 反対側を自分の手首に嵌めて、京介が嬉しそうに言った。 ぶちり、と何かが音を立てる。 「ふざけんな!」 こんなもの何処で手に入れて来たのか、怪しい通販かアダルトグッズか、とにかく頭にきた。 繋がれていないもう片方の手を、殴ってやろうと振り回す。 だが、あっさり掴まれてしまった。 京介はもう一度クロウに顔を寄せて小さく呟く。 「今日、ずっとオレと一緒に居て」 「・・・あのな」 オレは仕事があんだよ。 そう思いつつも、唯の我儘ではない何処か切実な様子に、クロウは考える。 じゃらり、と手錠が鳴った。 良く見ればこの手錠、かなり大きい。 クロウは手が小さいので、窄めれば簡単に抜けそうだ。 もちろん京介だって、クロウの手が小さいことなんて知っている。 クロウは訊ねた。 「お前、何がしてえの?」 京介は答えない。 「オレのこと試してえの?」 捕まえて、閉じ込めて。 それでも、逃げないでいるか。 そんなこと試してみなくてもいいって、まだわからないのだろうか。 「・・そうかも」 京介が小さく言った。 「馬鹿じゃねーの」 「ホントだな」 クロウの言葉に、京介は、はは、と乾いた笑いを浮かべる。 「なんか、今日はどうしても、我儘言ってみたかったんだ」 クロウは、はあ、とため息をつくと、ぐいと手錠の腕を引き寄せた。 不意をつかれて倒れ込んできた京介の頭をぎゅう、と抱き締めてやる。 「・・・クロウ?」 腕の中で京介が不安そうに名を呼んだ。 そんな声出すなら最初からやんなっつーの。 クロウは今日のシフトを思い浮かべる。 ボマーも一緒だし、預かる子供たちの数も少ない。 「今日は忙しくねえから、半休貰って帰ってきてやる」 「え、マジで?!」 がば、と京介が顔を上げた。 クロウの仕事大好きっぷりは知っているから、半分とはいえ我儘が通るとは思っていなかったのだろう。 「そのかわり!」 クロウは厳かに告げた。 「電話すっから駅前のケーキ屋まで荷物持ちに出てこいよ」 ケーキ屋、と聞いて泣きそうな顔で京介は笑った。 覚えててくれたんだ、と小さく言う。 馬鹿、忘れるわけないだろが。 「オレ、誕生日なのに荷物持ちやらされるの」 手錠を外して、いつもの調子を取り戻しつつ京介が言った。 「当り前だろ」 クロウは答える。 「お前の我儘聞くんだから、オレの我儘も聞けっての」 END 現ぱろ 京介お誕生日捏造 荷物持ちさせて一緒に帰るのv
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