■お部屋探し(京クロ)■

京クロ・現ぱろ
今回はさらに京介がダメダメですよ。

 


今までのまとめ
>一緒に暮らそう




「クロウ、お小遣い頂戴」
手を出す京介にクロウは銀行のカードを乗せてやった。
京介の給料振込み指定の銀行のカードだ。
「これじゃなくて現金で」
「阿呆か。自分で下ろしてこい」
べたりと引っ付いてくる京介を、クロウは冷たくあしらう。
「だいたい何でオレがお前の給料管理してなきゃいけねーんだよ。自分で持ってろ」
京介はカードだけでなく通帳もクロウに預けてあるのだ。
文字通りお小遣い制である。
「えーだって旦那はフツー家に給料全部入れるもんじゃね?」
「誰が旦那だ」
ごすん、と京介の頭に手刀をくれてやる。
いてえ!と京介は喚いた。
叩かれた頭を撫でながら言う。
「つかマジな話、食費くらい入れねーと悪いじゃん。毎日此処で飯食ってるのに」
悪いと思っていたのか。
クロウは正直、吃驚した。
「・・わかった、今度から使う」
「え、使ってなかったのかよ!?使ってくれって言っただろ!使ってくれなきゃオレ此処に来れないじゃねーか」
「わりかったって」
ぎゃあぎゃあ騒ぐ京介を往なしてクロウは訊ねた。
「お前、自分の部屋の家賃とかどうしてんだよ」
全額クロウの管理下に入ってしまっているのに、その辺どうなっているのか。
京介はさらっと言った。
「半年分払ってある」
「あっそ」
半年、っつーともうすぐ期限切れってことか。
京介の私物が増えつつある部屋を見ながら、クロウはうーんと唸った。
そろそろマジで考えなければいけない。





情報誌を見ながらあれこれ考えていると京介が帰ってきた。
「ただいまークロウ」
「おーおかえり」
ぐだぐだぐだぐだ散々文句は垂れるものの、京介は会社ではそれなりに真面目にやっているようで、時々残業で遅い時がある。
出迎えてやると、まずクロウにぎゅうと抱きついてくるから、仕方ない、此方も背中に手を回して子供をあやす様に軽く叩いてやる。
すると次はただいまのちゅう、などと言って顔を寄せてくるから、其れを手で防いで、手洗いうがいをして来い、と言う。
なんかもう慣れた。
「飯食うだろ」
「おお」
洗面所から返事をする京介は、どんなに遅く帰って来ても滅多なことでは食べないと言わない。
クロウの作った飯が一番美味いと言う。
調子のいい奴だから多少の世辞は入っているのかもしれないが、それでもそんな風に言って貰えるのは、実を言うとちょっと嬉しい。
「ごちそうさまでした」
「おう」
綺麗に平らげた京介に茶を出してやって、さっさと歯磨きしろよ歯磨き!と子供に言うように言ってやる。
生返事をしながら、だらだらと茶を啜る京介は立ち上がったクロウに言った。
「あ、オレ皿洗うよ」
「いいって。今日オレ休みだったし。それより歯磨き!」
「んー・・・」
京介はクロウが待っている間に見ていたテーブルの上の薄っぺらい情報誌を片手で持ち上げた。
「なに、見てたん?」
京介が訊く。
みてわかんねーのかよ、と思いつつクロウは言った。
「週刊住宅情報」
本屋とかの出入り口付近に良く置いてある、タダの奴だ。
「・・・・・クロウ、引っ越すの?」
小さな声だった。


「引っ越しても、オレ、遊びに行ってもいい?」


「は?」
何を言われたのか一瞬わからなかった。
視線を落として、京介は繰り返す。
「クロウが引っ越しても・・・行ってもいい?」
いつもと違う表情。
まるで置いて行かれた子供みたいな。
馬鹿みたいに押しが強くて、言っても言っても「ただいま」ってこの部屋に帰ってくるくせに、何でこんな顔してるんだろう。


置いて行ったり、しないのに。


「ばあか」
京介の手からクロウは雑誌を取り上げた。
そうしてその薄べったい雑誌を丸めると、京介の頭をぽかん、と叩いてやる。
「お前マジで馬鹿だな」
クロウは続けた。
「オレ一人だったら別に引っ越さなくったってこの部屋で十分なんだよ。此処気に入ってるし、家賃安いし。でも此処は2人で暮らすにはせめーだろ。お前と暮らすためにもう少し広いところ探してるんだろが」
阿呆かお前。
京介が顔を上げる。
「クロウ、」
まだその表情が、置き去りの子供のままのような気がして、クロウは京介の台詞を遮って叫んだ。
「なんだよ、此処じゃなきゃ嫌だとか言うのか?」


「オレが居りゃ何処でもいいって言えよ!」


京介の手が伸びてきて、クロウに触れる。
「うん」
それからぎゅうと抱き締めてきた。
髪に顔を埋めるようにして、何度も言う。
「クロウと一緒なら何処でもいい」
「クロウとずっと一緒に居たい」
「クロウ大好き」
繰り返されるその言葉に顔が熱くなる。
耐えられなくなってクロウは喚いた。
「わーったよ、もういいって!」
自分で一緒に居たいと言えと言ったくせに、それがスゴイ台詞だったと今更ながら気づく。
なんかそれって告白みたいじゃね?
恥ずかしくてもう顔を上げていられない。
離せ、と、もがいてみたが京介の腕の力は緩まなかった。
まったく離す気は無さそうだ。
クロウはため息をつくと諦めて力を抜いた。
「・・・一応言っとくけど」




「オレ、明日仕事だかんな?」





END





京クロ現ぱろ・お部屋探し編
デレて終わる(笑)
このままベッド直行コースです。
歯磨きしてねぇし(笑)
ヘタレ攻め×男前受けが好きですいません。


ええと・・・もう少し続くと思います・・(^^ゞ
ぱられるがお嫌いでなかったらお付き合いくださいませ〜
 





2009.05.10

 

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