■あったかい期待シタイみたい。■あったかい期待シタイみたい。■暑気あたり、気づけば腕の中。■離れて歩くずぶ濡れ相合傘。■
ソファに座ってみかんを食べようとしていたら背凭れ越しにクロウに抱きつかれた。
というか、頭の上に顎を乗せられた。
ブルーノは吃驚してみかんを取り落としそうになった。
「な、なに?どうしたのクロウ」
「うっせー。オレだってたまには人の頭に顎乗せたいんだよ」
…ジャック辺りに身長のことで何か言われたんだろうか。
頭の上でもにゃもにゃ文句を言っているクロウに剥き掛けのみかんを指し示す。
「…ええと、みかん食べる?」
「食べる」
あーん、と口を開けた気配がしたので一房頭の上へ差し出す。
何だか雛に餌でもやってる気分だ。
クロウが甘えてくれるのって珍しいなあ。
頭の上が暖かくてブルーノは笑った。
***
あったかい期待シタイみたい。
ブルーノちゃんとクロたん
ほのぼの。
11.11.24
学校帰りにポッポタイムへ寄る。
日課のようになりつつあるそれに、今日は変化があった。
椅子の上に置かれたカゴに、毛糸と編みかけのモノ。マフラーだろうか。
この家でこんな器用なことが出来るのは多分クロウだけだ。
遊星もブルーノも器用だが、それは機械に対してだけ発揮されている。
仕事から戻ってきたクロウに尋ねると、案の定その通りの答えが返ってきた。
「ゾラが余ってる毛糸くれたからさ。ガキ共にマフラーでも編んでやろうと思って」
「本当に器用なのね」
感心して言うとクロウは笑った。
「んなことねえよ、真っすぐだし簡単だ」
それから毛糸玉を手にアキを振り返る。
「アキも編んでみるか?」
「えっ私?無理よ!」
生まれてこのかた、編み物などしたことが無い。
無理だと言うのにクロウは畳みかける。
「簡単だって。冬は寒いしマフラーあったら嬉しいんじゃね、遊星も」
遊星も。
自分の遊星に対する思いはバレバレだったらしい。
毎日此処へ寄っていれば当然だろうか。
「…編み方、教えてくれる…?」
それでも遊星が喜ぶなら挑戦しようと思うあたりが女心と言うものだ。
***
あったかい期待シタイみたい。
遊←アキ
女心がわかるクロたん。
自分はフラグ立たねえけどね…!
しかしまっすぐ編むのも大変難しいことよ。
11.11.18
誰かの手が、髪を撫でる。
この感触を知っている。
ゆっくり目を開けると其処にはクロウが居た。
「お、気が付いたか」
「私、」
「熱中症じゃねえか。ぶっ倒れた」
飲めるか、とペットボトルを差し出されたので身体を起こす。
クロウはそっと支えてくれた。
そういえばアキとクロウのデュエルを見ていたのだった。
さっき立っていたところからは少し離れた木陰。
クロウが連れてきてくれたのだろうか。
「アキはミゾグチ呼びに行ったぜ」
「そう・・」
「もう少し横になってろよ」
言われるままにまた身体を倒す。
クロウの手が髪を撫でる。
まるで違うのにその優しさがお父様と似ていると思った。
***
クロシェリ
暑気あたり、気づけば腕の中。
11.08.30
「お、どうした龍亞龍可」
「傘ないの?」
雨の買い物帰り、クロウと荷物持ちのブルーノは、コンビニの前で双子と遭遇した。
問いかけると二人して同じ仕草で頷く。
「龍亞がコンビニで立ち読みに夢中になってるから」
「だって大会の記事が載ってたんだもん!」
学校帰りには降っていなかったが寄り道してるうちに、という訳らしい。
「んじゃ、貸してやるよ」
ほい、と差し出すと心配そうに龍可は言った。
「でも、クロウは?」
「オレはブルーノの傘に入れて貰うから」
大丈夫、と笑って見せる横でブルーノがにこやかに言った。
「相合傘だね!」
***
離れて歩くずぶ濡れ相合傘。
悪気なく言うブルーノちゃん。
でもきっとぽかって叩かれる(笑)
恋するカレンダー12題 2
お題Fortune
Fate
11.06.24
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