■「こんなカンジ」(十翔)■

十翔。正月からバカップル(笑)





ふと気がつくと、手の中に小さな箱があった。
なんだったかな、これ。
多分、大事なものだったはず。
その箱を見ながらそんな事を考えていると、声をかけられた。
「アニキ?」
声のほうに顔を向けると其処に翔が立っていた。
「翔」
翔の顔を見たとたん、この手の中の綺麗にラッピングされた小さな箱が、自分が翔のために用意したとても大切なものだったことを思い出した。
そのまま翔の方へ突き出す。
「ボクに?」
頷くと翔はとても嬉しそうに受け取ってくれた。
「ありがとう、アニキ。・・開けてもいい?」
もう一度頷く。
翔の小さな手が、丁寧にリボンを解き、包装紙を剥がしていく。
それをとても不思議なことのように見ていた。
中から出てきた箱に、翔はほんの少し動きを止めた。
驚きと、喜びと。
そんなものが入り混じった顔でこちらを見る。
開けるように促すと、翔は恐る恐るフタを開けた。
「・・・アニキ」
「うん」
中に入っていた指輪を取り出して、翔の指にはめる。
ぴったりだ。
それは翔の指先できらきらと光を放った。
翔がじっと見上げてくる。
可愛い。
「何か、カッコいいこと言おうと思ってたんだけど・・・やっぱそんなの、オレらしくないから止めた」
まっすぐ、目を見て告げる。



「オレと、結婚して」



言い終わるか、終わらないかの内に、どん、と翔が俺の胸に飛び込んできた。
潤んだ瞳で俺を見て、口を開く。

「・・       」



 

 

 

******

 

 

 

「返事を聞く前に此処で目が覚めちゃったんだよ」
「馬鹿かお前は」
長い長い、十代の今朝見た夢の話を聞き終えた万丈目は開口一番そう言った。
「すっげーいい夢だった」
万丈目の言葉を聞いているのか、いないのか、十代は宙を見つめてうっとりと呟く。
万丈目は呆れて言った。
「少しは人の話を聞け」
「こんな初夢が見れるなんて、今年はきっといいことがあるぜ!」
「今年もキサマは進歩が無いな」
「ああでも本当にプロポーズの返事が聞けなかったのは残念だな」
「男同士でプロポーズもくそもあるか」
「・・万丈目、何カリカリしてるんだよ。正月3が日くらい笑って過ごそうぜ」
「誰のせいだ!!」
万丈目はとうとう大声で怒鳴った。
其処へ当の翔が、自称十代の弟分、実質翔の子分の剣山を伴ってやってきた。
「アニキ、万丈目くん、あけましておめでぇえっ!」
おめでとう、と続けようとしたのだろうが、最後まで言うことは叶わなかった。
いきなり十代に飛びつかれて翔はひっくり返る。
「ナニナニ!?なんすかアニキ?!」
「翔!返事はもちろんイエスだよな!!!」
「はあ?!何の話っすか?!・・ちょっと万丈目くん助けてよー!」
いきなり聞かれたところで、夢の話であるから翔には何のことかさっぱりだ。
床に転がってじたじたする二人を見ながら万丈目はため息をついて言った。
助けを求める翔に他にかける言葉がない。



「馬鹿は相手にするな」




今年も、こんなカンジのようだ。



 

END

 




十翔

 

正月っぽいネタ投下してみました(笑)

 
アニキのプロポーズってどんなカンジかしらー
翔はもう胸に飛び込んで頷くしかないわよね〜
・・とかいう阿呆な妄想をしていた結果なんですが(笑)

まあ今年もこんなカンジで(^_^)

 

2007.01.14

 

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