■つまらない話も聞きとる耳■せつなくなるような笑顔■胃から落とすのが近道です■笑顔で名前を呼びましょう■
・つまらない話も聞きとる耳
「あ、そだ。ほら翔」
「え、何?アニキ」
投げられたモノをボクは反射的に受け取った。
お手玉したけどなんとかキャッチ。
板チョコだ。
「どうしたの、此れ」
「さっきトメさんがくれた。お前、何か甘いもの食べたいとか言ってたろ」
言った。
でも独り言のつもりだったから、アニキに聞かれてるなんて思わなかった。
なんか嬉しい。
アニキだってレッド寮の万年欠食児童だもん、チョコ食べたいに決まってるのに、ボクにくれるなんて。
「ありがと、アニキ」
ボクは言った。
「半分こ、しよ?」
***
十翔
13.12.14
好きなところを10こ
white
lie
■せつなくなるような笑顔■
残念ながら携帯は持っていない。
パソコンは持っているからメールは出来るけど、それも元来マメな方ではないので滞りがちだ。
それでも翔はしょっちゅうメールをくれる。
その度に会いたくなってしまう。
実際はもう随分会っていないんだけど。
今朝のメールは特にその思いを強くするものだった。
『お誕生日おめでとう』
幸い翔の居る街の近くに居たので、このまま会いに行くことにした。
向こうもプロとしてなかなか忙しいらしい。
ホテルのラウンジで待ち伏せして、翔が帰ってくるのを待つ。
「アニキ!」
目敏く此方を見つけた翔が呼んだ。
泣きそうな顔で笑う。
その笑顔をなんて言ったらいいんだろう。
***
十翔
翔はマメそう
好きなところを10こ
white
lie
13.08.17
■胃から落とすのが近道です■
「翔、エビフライやるよ」
「ええええええええ!!」
翔は凄い勢いで叫んだ。
「ど、どうしたのアニキ、どっか具合でも悪いの!?」
「いや具合は悪くないけど」
「だってアニキが大好きなエビフライをボクにくれるなんて!」
月に一度のエビフライ、レッド寮生はそりゃあ楽しみにしてる。
オレだってそうだ。
「だからさ、翔にやろうと思って」
大好きなものだから、大好きな翔へ。
「アニキ…」
翔は大きな眼をうるうるさせて言った。
「じゃあボクのエビフライをアニキへあげるね!」
大好きなアニキに。
オレは笑った。
「じゃあ俺たち両思いだな」
はい、あーん。
お互いのエビフライをお互いに食べさせようとしたところで、がたん、と音がした。
向かいに座っていた万丈目が拳を握りしめて立ち上がる。
「貴様ら朝から鬱陶しいぞ!!」
***
十翔
13.03.12
お題は此方から
corona
■笑顔で名前を呼びましょう■
此処へ入学してから、ずっと、翔はオレのことを『アニキ』って呼ぶ。
同い年なんだからオカシイ気もするけど。
まあ渾名みたいなもんだと思えば気にならない。
というか、もうアニキって呼ばれることに慣れてしまって、突然名前で呼ばれたらきっとすげー違和感なんだろう。
でも他の奴らは皆『十代』って呼ぶし、翔にも一回呼んで貰ってみようかな、なんて。
そんなことを考えて呼んでみてくれって頼んだ訳なんだけど。
上目づかいに小さな声ではにかんだ笑顔を添えて。
「十代…」
なんて言われた日には。
何故だか知らないけど顔が熱くなってしまった。
「あ、やっぱ翔はアニキでいいや…」
毎回此れじゃこっちの身が持たない。
***
恋の必勝法
2013.01.19
お題は此方から
corona
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