■「甘やかすな」(十翔)■

十翔。翔に髪の毛拭いてもらうアニキ。甘やかす嫁(笑)




 

「あーいいお湯だったー」
濡れた髪を拭きながら部屋に入ってきた翔に万丈目が言った。
「何だ貴様。とうとう風呂セットまで持ち込んだのか」
翔はラーイエローに上がった。
とは言えほとんどレッド寮に入り浸りで今までと対して生活に変化はない。
ラーへ持っていった日常品、歯ブラシやコップ、湯のみ、パジャマ、そういった品々もいつの間にやら元通りの場所に置かれている。
「今日はアニキのシャンプー借りたんだよ」
万丈目の皮肉った物言いに翔は負けずに言い返す。
「でもそう頻繁に借りてたら悪いしー・・やっぱ自分の持ってきて置いておこうかな」
「お前自分の寮がラーイエローだってわかってるか?」
「いいじゃんか」
皮肉どころかはっきりそう訊ねられて、翔はぷうと頬を膨らませた。
「翔―いい匂いだなー!」
「わあ!」
其処へ後から部屋に入ってきた十代が後ろから抱きついてきた。
「もうーアニキのシャンプー借りたんだからアニキと同じ匂いでしょ!」
翔は十代を引き剥がしにかかるが、べったりと張り付かれてそれはなかなか難しい。
十代の濡れた髪からぼたぼたと滴が落ちる。
「つか冷たいよアニキ。床もびしょびしょじゃないッスか」
翔はぐい、と十代を押してようやく身体を離した。
「もーいつももう少しちゃんと拭いてよって言ってるのにー」
「おう!」
翔の小言に少しの反省の色もなく十代が答える。
諦めたように翔はため息をひとつ吐いた。
「ホラ其処座ってよ」
翔はそう言って万丈目ルームのリビングに下りる小さな階段を指差した。
丁度テレビの前あたりなので大勢集まる時は椅子代わりにもなる階段だ。
十代が大人しく其処へ座ると持っていたタオルで髪を拭く作業にかかる。
十代が言った。
「翔テレビ見えない」
「すぐ済むから文句ばっか言わないの」
その様子を見ていた万丈目が口を挟む。
「甘やかすな」
「だって何回言っても駄目なんだもん」
翔は言い返した。
「いつも床拭くのボクだったし」
「お前が面倒見てやるから調子に乗るんだろうが」
・・そうかも?と少し翔が納得しかけた時、十代が言った。
「万丈目五月蝿い。テレビ聞こえない」
「さん、だ!」
万丈目は不機嫌に訂正した。




「あれ、今日は翔来てねぇの?」
濡れた髪にタオルを乗せただけの状態で十代が言った。
拭いていない髪からはびしょびしょと水が落ちる。
「今日は樺山先生に捉まったそうだ」
「・・誰だよそれ」
不機嫌に言って、十代はタオルでがしがしと拭いた。
「今日は自分で髪を拭くのか?」
それを見ながら万丈目が面白そうに訊く。
「五月蝿い万丈目。テレビ聞こえないだろ」
「さん、だ」


面白く無さそうな十代と対照的に、楽しそうに万丈目は訂正を入れた。

 

 

END

 





十翔

 

甘ったれなアニキでした(^_^)
アニキは基本的に翔の事甘やかしてるなぁと思いますが
日常生活では翔がアニキを甘やかしてるとイイナ!みたいな。
お茶淹れたりとか。
朝は起こしてあげたりとか。
甲斐甲斐しく世話焼いたりとか。
嫁に甘えるアニキ(^_^)

そんなバカップルは見ているだけでいらいらすると思います(笑)

樺山先生はラーイエローの先生ですよ!(^_^)


 

 

2005.11.20

 

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