■「キミ、馬鹿でしょう?」(剣翔)■

剣翔。いつも剣山くんの片思い話が多いので・・・








ずっと丸藤先輩が好きでした。



翔の卒業を前に、気が焦ったのだと思う。
置いていかれる、そんな気がして。
ひとつ年上の好きな人は、新しい生活を前に明らかに浮かれていたので。
自分のことなんてきっとすぐ忘れてしまう。
もうかなり前から好きだという自覚はあったのだけれど、それを告げることは出来ないで居た。
今の関係を壊すのが怖かったから。
喧嘩もするけれど、仲良くやっていたから。
それなのに、会えなくなってしまうのだと思ったら行動に出てしまった。
押さえつけて、唇を合わせる。
驚いた翔は一瞬固まったが、すぐに抵抗し始めた。
小柄な翔に本気で暴れられて剣山は怯んだ。
此れだけの体格差だ、剣山が本気を出せば押さえ込むのは容易いだろう。
だが、それでは翔も無傷とはいかない。
怪我などさせたくはなかった。



それと



こんなに大暴れするほど自分に触れられるのが、嫌なのだ。





そう思ったら、剣山は手を離していた。翔は少し離れて、剣山の様子を窺っている。
部屋を出て行かれないだけ、まだマシだと思った。
だが、今までのような関係にはもう戻れない。
謝ったとしても。
それでも剣山は言った。
「ごめんなさい・・」
「違う!!」
翔は凄い勢いで怒鳴った。
「剣山くん、キミ馬鹿だろ?!もっと他に言うことあるでしょ!!」
翔の剣幕に押されて剣山は黙り込む。


もっと他に、言うこと。  




「他に・・って」

こんなことしておいて謝る以外にどうしたらいいのか剣山はわからない。
どうしたら翔が自分を許してくれるのかわからない。

途方にくれて助けを求めるように翔を見ると、翔はもう一度言った。
「キミ本当に馬鹿でしょう、剣山くん」


「まず、言わなきゃ駄目なことっすよ。こんなことする前に」  

こんな行動を起こす前に言わなければいけないこと。  

え、と翔の顔を見ると、相手はぷいと顔を背けた。
心なしか頬が赤い。




まず
告げなければいけないこと。



   
「オレ、丸藤先輩が好きざうるす」




   
翔はそっぽを向いたまま「ホント、キミ馬鹿だね」と答えた。


その耳はさらに赤かった。




END





剣翔

すいません、剣山くんが消えちゃったのがショックだったのと
これから来るであろう、三期再びなウツ展開の予感に

・・魔が差しました(^^ゞ
ツンデレかよ!みたいなー。
剣山くんにイイ思いをさせてあげたかったんだ・・

 

2008.02.03

 

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