■「呼ばれるの好きなんだ」(剣翔)■

剣翔。
たまには剣山くんも甘えさせてあげないとね。











急に剣山くんが顔を近づけてきたので、その鼻をぴしゃんと引っ叩いてやった。
赤くなった鼻を押さえて恐竜が恨めしげにコッチを見るけど、ボクは悪くないよ。
こんなところでキスなんかしようとする方が悪い。
何か文句あるっすか、と睨んでやったら、今度はいきなり抱きしめられた。
思いっきり暴れて逃げようとしたけど、上手くいかなかった。
口惜しいけどこの体格差じゃどうにもならない。
剣山くんはぎゅうぎゅう抱きしめてくるし。
なんか必死だ。
諦めて暴れるのを止めたら少し力を緩めてくれたので、剣山くんの背中に腕を回して、子供をあやすみたいに軽く叩いてやった。
ボクは空気読めないほうじゃない方だと思うけど、人の心の中までは読めないから、言ってくれないとわかんないよ。

何がそんなに不安なの。

「きっと丸藤先輩は卒業したらオレのことなんかすぐ忘れちゃうざうるす」
何言ってんだか。
忘れられたりしないように、電話でもメールでもいくらでもすればいいじゃないか。
電話やメールは嫌いじゃないから、一週間に・・・ううん、3日に一回くらいならボクからしてあげたっていい。
「卒業しないでオレといっしょにもう一年3年生をやったらいいどん」
いいこと思いついた!みたいに言うな。
やだよ、吹雪さんじゃあるまいし。 剣山くんと同級生なんて。そんなの。
だってボク



 「剣山くんに『丸藤先輩』って呼ばれるの好きなんだ」 



ボクは甘ったれだから
うんと甘えて全部頼っちゃいたいと思ったりするけど
でもそれじゃ駄目。
イヤなんだ。

だから『先輩』で居たい。
其処は守っていたい。
剣山くんが甘えたい時はちゃんと甘えさせてあげたい。
守ってもらう、ばかりじゃなくて。

 ボクがそんなこと考えてるなんて、剣山くんに言うつもり無いけど。 




「・・丸藤先輩」
ボクの言葉はとりあえず剣山くんを安心させることが出来たみたい。
また剣山くんがそうっと顔を近づけてきたので、今度は鼻を叩かないでおいてあげた。



END






年上ぶって、惚れた弱みを見せたくない翔でした(^_^)


最近剣翔が多いのはアニキが翔をかまってくれないからです。
私悪くないよ!(笑)

 

2008.03.09

 

>戻る