■触れたくなる後ろ姿■全部受け止めてくれる腕■自分だけを見てくれる瞳■思い切って触れてみましょう■たまには色仕掛けも必要です■
・触れたくなる後ろ姿
一歩前を歩くその背中に後ろから抱き付いて、渡すことが出来たらいいんだろうな、とは思う。
けれど剣山相手だとどうしても素直になれない。
「剣山くん、そのまま後ろに手を出してよ」
「は?」
「振り返んなって言ってんの!」
バシリ、と背中を叩く。
文句を言いながらも元通り前を向いた剣山は此方に手を出してきた。
その手の上に可愛らしいラッピングの箱を乗せてやる。
「見てもいいどん?」
「うん」
その箱を見て剣山はすぐに察したようだ。
「…此れって」
「バレンタインだからね」
照れ臭くて早口に、そしてぶっきらぼうになってしまう。
「嬉しいどん!ありがとうざうるす、丸藤せんぱ」
「コッチ見んなってば!」
振り返ろうとする剣山の背をまた叩く。
「ちょ、何で叩くどん!」
「うっさいな!恥ずかしいからに決まってるだろ!」
悔しいことにこの大きな背中は翔が叩いたくらいではびくともしないのだ。
***
剣翔
14.02.08
好きなところを10こ
White
lie
■全部受け止めてくれる腕■
「ボク、アニキが好きなんだ」
「知ってるどん」
剣山くんはそう言って笑った。
「お兄さんのことも大好き」
其れも知ってるざうるす、とやっぱり笑う。
ボクのこと好きだなんて言っておきながら、ボクが他の人が好きって言うの、嫌じゃないの?
ボクだったらそんなの嫌だ。
好きな人にはボクのことだけ好きになって欲しいもの。
「剣山くんて変」
「そうざうるす?」
剣山くんは首を傾げた。
「でもアニキのこともカイザーのことも好きな、丸藤先輩を好きになったどん」
そんな風に笑われたら、うっかり腕の中に飛び込みたくなっちゃうじゃないか。
***
剣翔
懐の広い剣山くん
13.11.09
好きなところを10こ
White
lie
・自分だけを見てくれる瞳
「そういえば丸藤先輩、誕生日おめでとうザウルス」
これ、と差し出された小箱にはきちんとラッピングがされている。
ありがとう、と受け取って、吃驚したよ、と付け加える。
「剣山くんがボクの誕生日覚えててくれたなんて!」
明日は雨でも降るんじゃない。
からかうようにそう言うと剣山くんは少し慌てたように言った。
「たまたま、中学の時の友達に同じ誕生日の奴がいて、其れで覚えていただけだどん」
「へーそうなんだ」
剣山くんはそういう嘘つくの下手糞だ。
でもまあいいよ、其れに騙されていてあげる。
「あけてもいい?」
嬉しそうに笑って見せれば、キミも嬉しそうにしてくれるから。
***
剣翔
お誕生日ネタ
素直じゃない二人
13.09.14
好きなところを10こ
white
lie
・思い切って触れてみましょう
並んで歩くと、いつも旋毛しか見えない。
翔は同級生の仲でも背の小さな方だのようだし、剣山は反対に大きな方だ。仕方がない。
その柔らかそうな髪がぴこぴこ揺れるのを見ていると、どうしても触りたくなってしまう。
ぱふ、とその頭に手を乗せると案の定翔はムキーとなった。
「撫でないでよ!」
「撫でてないどん!」
撫でたつもりはない。ただ触っただけだ。
ふわふわのその髪に触りたかっただけだ。
思った通りその髪は柔らかくて、とても温かかった。
しかしその身長がコンプレックスの一つらしい翔は年下に子供の様に扱われたと益々怒る。
暴れる翔を封じる為に両手で捕まえる。
腕の中でまだ悪態を付いているけれど、やっぱりその身体も温かかった。
***
剣翔
13.05.11
恋の必勝法
corona
・たまには色仕掛けも必要です
寮の自室で着替えていたらドアをノックする音がした。
「剣山くーん?アニキのトコ行こうよー」
丸藤先輩だ。
「今行くざうるす」
返事をすると勝手にドアを開けて入ってきた。
まあ男同士だし別に着替えを見られたって構わない。
「ちょっとシャツを替えてたどん。すぐ終わるざうるす」
「ふうん」
しばらく人の着替えを見ていた丸藤先輩は、げし、と人の足を蹴ってきた。
「何するどん」
丸藤先輩は言っちゃ悪いけど小さいから本気で蹴って来ないならそれほど痛くはない。
けどいきなり蹴られる意味が解らない。
「何かムキムキで腹立つ!」
怒鳴って丸藤先輩は部屋を出て行ってしまった。
…そんなこと言われても。
***
剣翔
色仕掛けしてるつもりはない
恋の必勝法
corona
13.02.16
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