■誰かを慕う貴方を想う夜(剣翔)■

■ある5つの夜











丸藤先輩はアニキが好きだ。


この先輩のことが、最初は苦手だった。
小さいくせに我が強くて、気が弱い癖に負けず嫌い。
喧嘩なんてしようものなら凄い勢いで引っ掻かれる。
此方がつい小柄な相手に手加減なんてしようものなら確実に負ける。
そしてアニキをアニキって呼んでいいのは自分だけだと主張する。
別に誰が呼んだっていいじゃないか、と思った。
それなのにムキになってそう言うから、此方もついムキになった。
顔を合わせれば喧嘩した。
最初は苦手だった。
それなのに、いつの間にか。
デュエルした後からだろうか、それとももっと前から?
何時からなのか自分でも解らない。
気が付いたら、アニキよりも丸藤先輩と一緒に行動する方が多くなっていた。
気が付いたら、目が離せなくなっていた。
気が付いたら、好きだった。


だけど丸藤先輩は、アニキが好きなんだ。







剣山くんはボクのことが嫌いなんだ。


この後輩のことが、ボクも最初は嫌いだった。
ボクよりも大きくて、態度もでかい。
取っ組み合いの喧嘩もしょっちゅうしてた。
しかもボクの身長が低いからって手加減するんだ。
絶対馬鹿にしてる。ボクの方が年上なのに。
アニキのこともアニキって呼ぶし。
アニキをアニキって呼んでいいのはボクだけなのに。
最初は嫌いだった。
それなのにいつの間にか。
デュエルした後からだろうか、それとももっと後だった?
何時からなのか解らない。
気が付いたら、剣山くんと一緒に居ることが多くなっていた。
気が付いたら、目で追うようになっていた。
気が付いたら、多分好きだった。


だけど剣山くんはボクのことが嫌いなんだ。




最初は嫌いだった。
けれどいつの間にか仲良くなっていた。




でも、この恋は、きっと届かない。












END





剣翔で三万。
両片思い





お題はこちらからcorona

2013.02.28

 

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