■「負けないで!」(亮翔)■

■丸藤兄弟でかこう!10のお題■

卒業後丸藤。








ボクはすぐに不安になる。
ボクの歩くこの道は正しいのかな。
道に迷っているんじゃないのかな。
前方にお兄さんの背中が小さく見えるのを確認してやっとボクは安心する。
あの背中を追いかけていけば大丈夫なんだ。



相手のライフカウンターが音を立てて減り、0になった。
「勝者、丸藤翔!」
アナウンサーが高らかに宣言し、歓声が上がる。
ボクはホッとして息を吐き、それからはにかんだ様に笑ってみせた。
司会者の質問に「運が良かったっす」なんて殊勝に答えて見せる。
兄さんと似た黒のコートを羽織っているけれど、ボクの役割は『悪役』じゃない。
自分の容姿を客観的に見ても、“強くてカッコ良い悪役”が似合わないことはわかってる。
ボクの役目は、強いラスボス戦の前の前哨戦ってところかな。
その為にひとつひとつ堅実に勝っていくこと。
それがボクがボクに与えた任務だ。
次の試合の対戦者たちがそれぞれ会場に入り口に現れる。
片方のシルエットは当然兄さんだ。
ボクは舞台袖に引っ込みながらすれ違いざまに声をかける。
「頑張ってね、兄さん」
兄さんはボクを見て、当たり前だ任せておけ、とでも言うかのようにフッと笑った。
兄さんが会場に現れたことで、観客席から女性客の高い歓声が上がる。
強くてカッコ良い悪役、ヒールとしても人気の高い兄さんだけど、実の弟の前だけでは優しい顔をする、其処がまたイイらしい。
丸藤リーグはまだまだ準備段階、名前売出し中だから、観客の心を捉えられるなら、何でも頑張って利用させて貰わなきゃいけない。
急いで控室に戻って、モニターに齧りつく。
兄さんは下手すれば本気で瞬殺してしまうけれど、この間、もう少し長引かせた方がお客さんも喜ぶんじゃないかなぁと言ったら、今回はそうしてるらしい。
意外と素直だ。
兄さんには残念ながら商才は無さそうだし、其処んトコはボクがしっかり頑張らなきゃいけない。
だってボクら二人のリーグなんだもの。
だから頑張れる。
二人で頑張っていける。

 




ボクは昔はよく不安になった。
この道は正しい道なのかな。
だけど兄さんが一緒にやろうと差し出してくれた手を握り返したあの時から、迷ってなんかいない。
この手を放さなければ大丈夫なんだ。



一緒に歩いて行くんだ。




END

 







卒業後丸藤妄想。
アニキも頑張ってるし
翔だって負けてませんよ。

映画はほんとアニキは元気でやってるんだってわかって
嬉しかったです。






■丸藤兄弟でかこう!10のお題■

丸藤兄弟同盟

2010.04.04

 

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