■・誰かに救いを求めた夜(丸藤)■


卒業後丸藤。








「誕生日おめでとう、翔!」
「おめでとうなんだな」
「ありがとう、二人とも!」
誕生日というものは、幸せな気持ちになれる日だ、と翔は思っている。
友人がこうやって祝ってくれたり。
それだけでも嬉しいのに、おまけに楽しみにしている月一の海老フライを一本分けてくれるという。
「半分でいいよ」
十代だけでなく隼人にまで分けて貰ったらお腹いっぱいになってしまう。
「でも誕生日なんだしさ」
「えー、けど万丈目くんも分けてくれるって言ってるしー」
「言ってない!!」
おどけた翔の言葉に、万丈目は怒鳴った。
だがぶつぶつと文句を言いながらも自分の海老フライを一本半分にして此方の皿に乗せてくれる。
なんだかんだ言っても万丈目もいい奴なのだ。
「あと此れな」
そう言って十代がカードのパックをくれた。
「トメさんがいいカードが出ますようにっておまじないかけてくれた奴だぜ」
「わー、ありがとう、アニキ!アニキの引きならいいのが出そう」
隼人も同じように一パックくれる。
礼を言って万丈目を見上げるとこれまたぶーぶー言いながら一パックテーブルの上に投げ出してきた。
捻くれた所もあるが、本当に人がいい。
ありがたくプレゼントを頂き、食後に開けてみる。
「あ、此れ、欲しかったんだ!」
広げたカードの中に欲しいものがあったようで万丈目が指差してきた。
「おい、翔、そのカードこれと交換してくれ」
「えーどうしようかなー。其れじゃなくてこっちとならいいよー」
「くっそ足元見やがって」
首尾よくトレードして、翔は十代を振り返る。
「アニキも何か欲しいカードある?」
「お、いいのか?じゃあ此れと此れ替えてくれ」
「じゃあオレも。此れ、翔のデッキにあった方がいいんじゃないかと思ってたんだな」
トレード会は十代や隼人も参加して、皆でカードを持ち寄りああでもないこうでもないと大騒ぎになった。
「これでよし」
カードを揃えてケースに仕舞う。
「いいデッキが仕上がったか?」
「うん、ありがとうアニキ」
アニキや隼人くんや万丈目くんのおかげだよ、と言うと、十代はにかりと笑った。


「そのデッキならカイザーにも勝てそうか?」









…あの時自分は、なんと答えたのだったろう。








 

 

 






「丸藤プロ、そろそろお時間です」
「はい、今行きます」
デッキを取って立ち上がる。



辛かったこともある、怒ったこともある、泣いたこともある。

誰かが助けてくれるのをただ待っていた弱虫な自分はもう居ない。







さあ、長い間憧れ続けていた、お兄さんとのデュエルだ。






 














負けられない。











END






丸藤
翔のお誕生日に十翔を書く筈が
気が付いたら丸藤兄弟話になっていたんだ…
な、何を言っているのかわからないと思うが
私も全くわけがわからない
…っつー感じの丸藤兄弟話
翔もプロになってお兄さんと対戦とかしてくれないかなって言う
翔にとってお兄さんはアニキとはまた別の
憧れでいつか勝ちたい人で超えたい高い壁で
丸藤兄弟の関係ってやっぱ萌える

翔、お誕生日おめでとう!





ある5つの夜
corona

2015.09.25

 

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