■「アニキ」(亮翔)■

■丸藤兄弟でかこう!10のお題■

人形から元に戻った後。天上院兄妹とお兄さん。





出し抜けに腕が伸びてきて、眉間を触った。
いつもながら唐突な動きに驚かされる。
もっとも、亮が驚いているとは傍から見ればそうは見えないだろう。
「何だ」
亮はそう言いながらその手を払い退けた。
「シワ」
「皺?」
「そ。皺寄ってたよ」
邪険に弾かれた手を気にする風でもなく、自分の眉間を指差しながら吹雪が言った。
揶揄する様な笑いを浮かべながら。
思わず亮も自分の眉間を触る。



皺など、寄っていただろうか。



「自覚ナシ?」
そんな亮を見ながらさらに楽しそうに吹雪が続ける。
「『アニキー』って言いながら翔クンが十代くんを追って出て行くのを見て、こんな顔してた」
吹雪は大袈裟に渋面を作ってみせた。
たった今まで見舞いと称してオシリスレッドの面々がこの部屋に来ていた。
亮の弟、翔が。
・・・そして遊城十代が。
「可愛い弟が他のオトコに懐いてるのが気に入らないわけかな?」
「別に」
そっけなく答える。
しかし吹雪はそれを言葉通りには受け取らなかったようで、からかうような笑みを深くした。
「オマエの愛情表現はわかりにくいんだよね」
「・・・」
亮の無言をさらりと流して、吹雪は続ける。



「黙ってないで、ちゃんと、言ってあげなきゃ」



わかってる。



心の中でそう返す。

だが口には出さない。

そんなことはわかっている。

 



わかっているけれど

上手く



言えない。


 

「その点、十代くんはわかりやすいよな」
吹雪はさらに追い討ちのように畳み掛けてくる。
「大丈夫よ」
其処へ席を外していた明日香が保健室へ戻ってきた。
「翔くんはちゃんと亮が自分のこと大事に思ってくれてるってわかってるわよ」
吹雪のベッドサイドにある椅子に腰を下ろしてそう言う。
何処から話を聞いていたのだろう。

「でも」

「十代の影響は大きいわよね」
「そうそう」
明日香はちょっとおどけた調子でそんなことを言った。
それに吹雪が大きな動作で頷いてみせる。
こういうところは良く似た兄妹だ、と思う。



「しっかりしないと『アニキ』に盗られちゃうよ?」



吹雪がそう言って眉間をつん、と指で突いた。
亮はむっつりと押し黙る。
もともと弁が立つ方ではない。
二人がかりで来られては反論のしようもない。


反論、出来ない。



結果天上院兄妹から逃れて、亮は自分が使っているベッドへと戻り布団へ潜り込んだ。




 

眉間をほんの少し、気にしながら。

 

 

END

 






アニキ対カミューラ戦後、保健室で。
天上院兄妹にからかわれるヘタレお兄さんの巻(笑)
もうちょっと言葉に出して言わないと
本当に弟盗られますよ!

吹雪さんに関してはキャラ捏造です。
でもすっかり「こんな人」像が出来ちゃってるらしく
さらさら書いちゃいました(^^ゞ

つか吹雪さんたちが寝てた場所って保健室でいいんだよねぇ?




■丸藤兄弟でかこう!10のお題■

丸藤兄弟同盟



 

2005.06.05

 

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