■「2歳差」(亮翔)■

■丸藤兄弟でかこう!10のお題■

165話あたり。吹雪とお兄さん。








「やあ、亮。元気?」
「吹雪」
亮が療養している部屋にいきなりやってきた吹雪は、入り口でひらひらと手を振って見せた。
ベッドに身体を起こして何かしていた亮が顔を上げる。
「お前も元気そうだな」
ダークネスやら、オネストやらのごたごたで、吹雪が少し体調を崩していた話は亮にも伝わっていたらしい。
吹雪は苦笑した。
見舞いに来て労わられていては世話は無い。
「何してたんだい?」
布団の上に広げていたカードを片付けながら亮は答えた。
「新しいデッキを作っていたんだ」
「そう」
一枚一枚大切そうにカードを集める亮の顔は楽しそうだ。
「出来たらデュエルしようね」
「ああ、そうだな」
そう答えて、それから亮は付け加えた。
「翔のOKが出たらな」
「翔くんの許可が要るんだ?」
とんだブラコン兄だね。
からかうようにそう言ってやると、亮は困ったように視線を落とした。
「翔に」


「兄さんが死ぬ所なんてもうみたくない、と言われたんだ」


死ぬ所なんて、もう、みたくない


さすがの亮もその言葉はこたえたらしい。
もう、みたくない。
確かに、一度亮は死んだのだ。
吹雪はその時その場に居なかったけれど、翔がその死にどれだけショックを受けたか想像するに難くない。
あんなに兄が好きなのだから。
「ああ、なるほどね」
吹雪は勤めて軽い調子で言った。
「ホント、僕ら弟妹に心配ばっかかけてダメ兄だよねぇ」
「まったくだな」
亮の頬に自嘲的な笑みが浮かぶ。
「ところで」
吹雪は手近な椅子に腰を下ろして話題を変えた。
「新しいプロリーグを作るんだって?翔くん、嬉しそうに話してたよ」

嬉しそうに、嬉しそうに。

その構想に自分も誘ってもらえたことも、兄がこの先はもう無い、という考えを捨て、進化を望んでくれたことも。
「で」



「ボクに何もハナシはないわけかい?亮」



ちょっと冷たいんじゃないの亮。
わざと拗ねたように口を尖らせてやるとくすり、と亮は笑った。
「お前はいつも変わらないな」
それから改まった口調になる。
「吹雪」
亮は顔を上げて吹雪の目線を捉えた。
「この話に、一口噛む気はあるか」


「もちろん」


吹雪は即答した。
その目には強い光が宿る。
そしていつもの軽い調子に戻って続ける。
「協力は惜しまないよ。僕ら親友でしょ」
「そう言ってくれると思っていた」
吹雪の返答に、亮はそう言って笑った。
 



***

 

「そういえば今日は十代くんと万丈目くんがデュエルするんだってさ」
「テレビ中継があるらしいな」
そう言った情報は翔から入ってくるのだろう。
「観に行く?」
「いや、此処で見れるようにパソコンを繋いでいった」
言いながらベッドサイドにおいてあったノートパソコンを開く。
2,3キーホードを叩くと其処にデュエル会場が映し出された。
亮と一緒にその画面を覗き込みながら吹雪が言う。
「ああ、まだ具合の悪いお兄ちゃんがウロウロ出歩かないように、ね」
「そうだろうな」
亮は苦笑した。
「上がだらしないと下はしっかりするらしいな」


「その辺はちゃんと変わらないとね」



ダメ兄を返上して頼れる兄にならないと。

真面目腐った吹雪の言葉に亮は神妙に頷いた。


 

END

 







165話アタリってことで。

お兄さんの作りたがってる「新しいプロリーグ」というものが
どういうものなのかイマイチ理解できていないのですが(^^ゞ
でも其処に参加してくれる決闘者が居なくてはハナシにならないと思うわけです。
吹雪は特に誘わなくても参加してきそう(笑)


あと翔の言った
「もう死ぬとこなんて見たくない」
に、まったくだ!!と思ったので。
お兄さんも少しはそんなこと言わせたことにショック受けてて欲しいですよ(^^ゞ





■丸藤兄弟でかこう!10のお題■

丸藤兄弟同盟

2007.12.16

 

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