■「キミの隣で」(斎エド)■

斎エド。斎王さまがアニキのところへ行った後。







与えられた病室へ戻ってきた斎王をエドの泣きそうな声が迎えた。
「何処へ行っていたんだ、斎王」
もちろんエドは泣いてなどおらず、むしろ怒っているかのようだったが、心配させてしまったのだとわかる。
言えば心配するだろう、と何も言わずに出て行ったことが返って仇になったようだ。
斎王は素直に詫びた。
「すまない、エド。十代のところに行ってきたんだ」
「十代の?」
ベッドの方へ向かおうとして、少しよろけた。
足元が覚束無い。
ホンの少し出掛けただけだというのに、この有様だ。
エドが素早く駆け寄ってきて支えてくれる。
「大丈夫か、斎王」
「ああ、ありがとう、エド」
礼を言いながら苦く笑う。

自分は、何も出来ない。

斎王をベッドへ寝かせながらエドが言った。
「ボクも近いうちに十代に会ってくるよ」
思わずその腕を掴んだ。
「エド」


「あそこは今、とても危険なんだ」



エドはもちろんそんなことはわかっているだろう。
あの島で、十代の周りでまた何か起ころうとしているのだと。
そしてそれを伝えるために自分が出掛けていったのだと。
実際、何もない空間を裂くようにして現れた、ミスターTなどと名乗る男に、斎王たちは襲われたのだ。

あの島は危険なのだ。

それをすべて十代に押し付けておいて

エドには其処に行かないで欲しいと願っている。




・・・最低だ。

 

それでもエドを危険なところへ行かせたくないと思ってしまう。

 

「斎王?」
黙ってしまった斎王を気遣うようにエドが名を呼んだ。
「大丈夫、危ないようだったら一番に逃げ出すさ」
腕を掴んだ斎王の手に自分の手を重ねて、軽い調子で言う。
安心させようとしてくれているのだろう。
「そんなことが出来るエドなら心配なんてしないよ」
斎王もエドの調子に釣られるようになるべく明るく返す。
「自分から危険に突っ込んでいってしまうタイプじゃないか、エドは」
「そんなことないさ」
斎王に言われたくない、とエドが不服そうに口を尖らせた。
自分の前だけで見せる年相応といえる表情に斎王は笑う。


「・・・早く元気にならないといけないな」




エドが無茶をしないように
隣に居てちゃんと止められるように



せめて、それくらいは。





エドは斎王の鼻先を指で突くようにして言った。
教鞭のようにその指を振る。
「そう思うなら療養所を無断で抜けだすのはやめてくれよ」
「わかった」


悪かった、と斎王はもう一度謝った。



 

 

END

 






斎エド

 

斎王さま再登場!!ってことで。
エドが一緒じゃなかったのはやっぱ心配させないように黙って出てきたからだと思います。
まだ療養中な斎王さまをエドが一人で出かけさせるわけがない。


療養所へ見舞いに行ったら斎王さま居なくって
エドはものすごく心配してると思う。

 

エドはOPにも出てるし
そのうち来てくれると思います。
斎王さまも早く元気になって
エドが無茶しないように守ってあげて欲しい。

2007.10.28

 

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