■頬を包むてのひら■お揃いのマフラー、君の好きな色■銀の星に祈るふたりの逢瀬■離れて歩くずぶ濡れ相合傘。■たまには甘いのあげようか、って。■
■頬を包むてのひら■
「泣かないで、斎王」
エドの優しい手がそっと頬に触れる。
「大丈夫、泣いていないよ」
エドは言う。
「斎王は優しいから」
優しくなんか無い。
自分のことしか考えていない酷い人間だ。
運命を変えること、それだけの為にキミに近づいたのに。
キミの優しさを利用しているだけなのに。
どうか私に優しくしないで欲しい。
利用しておいて、図々しくも願う。
優しくしないで欲しい。
いつかキミを運命に巻き込む私に。
その時、キミに嫌われるのが辛いから。
***
斎エド
13.07.13
好きなところを10こ
White
lie
最近寒くなって来た。
そろそろマフラーでも出そうか。
そう考えてエドは憂鬱な気分になった。
去年まで大切に使っていたマフラーはDDがくれたモノだった。
プロになった時にお祝にと送って貰ったモノだった。
あの人を尊敬していたし、父の様に敬愛していた、だなんて。
まるで道化じゃないか、と思う。
「どうしたんだい、エド」
「いや、何でもないよ斎王」
少し心配そうに此方を見る斎王に笑いかける。
「もう寒くなって来たしマフラーでも買おうかなって」
今度は斎王とお揃いで買うのもいいかもしれない。
前のモノとはまるで違う色にしよう。
***
斎エドというかDD←エド?
恋するカレンダー12題
お揃いのマフラー、君の好きな色
12.11.24
療養所で夜の空を眺めながら、大切な友人を想った。
プロとして忙しい彼は、それでも時間を作って頻繁に見舞いに来てくれる。
自分には妹しかいないと思っていた。
妹以外に理解者はいないと思っていた。
エドのことも最初はただ利用しようとして近づいただけだ。
自分の運命を変えて欲しかっただけだ。
それなのにエドは、自分を大切な人だと言った。
自分に出来ることは、今まで出来なかった分まで何でもすると言った。
違う。
自分の方が、エドには与えて貰ってばかりだ。
もう少し体調が回復したら、自分からエドに会いに行こうと思う。
もはや私たちを隔てる川はないのだから。
***
斎エド
2期終了後くらいなカンジで
恋するカレンダー12題
銀の星に祈るふたりの逢瀬
12.07.29
校舎を出ると雨が降っていた。
結構な土砂降りだ。
海岸に停泊中のクルーザーまでは少し遠い。
船の中で生活しているエドはほんの少し躊躇した。
土砂降り、だけが理由ではない。
雨というと、父の墓の前で佇んでいた自分に傘をさしかけてくれた、斎王のことを嫌でも思い出してしまうから。
あの頃と随分変わった。変わってしまった。
「あれ、エド。傘忘れたの?貸してあげようか?」
「・・結構だ」
後ろからやってきたのは翔だった。
「遠慮しなくてもいいよ。ボク、アニキの傘に入れて貰って帰るから」
断ったのに、ぐいぐいと傘を押しつけてくる。
傘を借りたいと、一緒に一つの傘に入りたいと
願っているのは一人だけ。
けれど今は遠い存在になってしまった。
エドは押しつけられた傘を持ったまま、ただ、斎王を想うしかなかった。
***
離れて歩くずぶ濡れ相合傘。
せっかく貸してくれたのに使わずに濡れて帰る意地っ張り
11.06.23
「斎王は甘いもの、好きじゃないよね」
2月も中旬、エドが突然何を言いだしたのか分からず、斎王は首を傾げた。
だがすぐに思い当たる。
バレンタインデーか。
確かに甘いものは好きというほどでもないが、もしエドがくれるというのなら自分は喜んで受け取るだろう。
エドのことが、好きだ。
素直に自分を慕ってくれる、この少年が好きだ。
けれど自分には破滅の運命を変えるために利用しているという負い目がある。
「そうだな」
斎王は言った。
「けれどたまには甘いものも食べたいと思うこともあるよ」
エドはチョコレートをくれるだろうか。
正直に思いを告げることは出来なくても、此れくらいは許されると思いたい。
***
たまには甘いのあげようか、って。
斎エドバレンタイン
11.02.23
恋するカレンダー12題 2
お題Fortune
Fate
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