■「だからキミが好き」(斎エド)■ 斎エド。全部終わった後。
「DDが犯人だった」
ボクがそう告げても斎王は特に動揺をしたようには見えなかった。 「斎王はDDが父さんを殺した犯人だと知っていたのか?」 だから続けて聞きたかった事を口にしてみる。 「いや」 斎王は静かに首を振った。 「自分の運命に関わることは、おぼろげにしか見えないのだよ」 ボクと斎王の運命が交わることで、それは斎王にもわからなくなったと言うことだろうか。 しかし斎王は顔をあげて言った。 「だが」 「確証はないがそうではないかと、思っていた」 どうして。 どうして、言わなかったんだ。 そう問おうとして、やめた。 答えがわかっているからだ。 言わなかったのではなく、言えなかった。 ボクが、DDを大好きだったから。 DDの優しさは全部嘘で、何もかも自分の保身のためだっただけだけれども。 ボクは本当に子供で、そんなことは全然わからなかったから。 ただ、DDが好きだった。 だから斎王はボクに何も言えなかった。 斎王は本当に馬鹿だ、と思う。 はっきりとわからないのに、DDが犯人だと言ったら、ボクが傷つくと思ったんだ。 DDからの「ブルーd」を見て欲しいという依頼を受けたのも、多分、何か情報が得られると思ったんだ。 ボクのために。 それで光の波動とやらにとり憑かれてたら世話ない。 斎王は本当に馬鹿だ、と思う。 「すまない」 「・・・謝ることないよ」 斎王は全然悪くないのに。 謝らないで。 斎王は本当に馬鹿だと思う。 馬鹿みたいに 優しい。 だけど、そんなところが。 「斎王はDDが父さんを殺した犯人だと知っていたのか?」 エドの問いに首を振って否定を示す。 「いや」 わかってはいなかった。 「自分の運命に関わることは、おぼろげにしか見えないのだよ」 嘘ではない。 破滅の運命というものが具体的にどういう風に自分に降りかかるのかわからなかったように。 だから本当に嘘ではないのだけれど。 「だが」 「確証はないがそうではないかと、思っていた」 エドを見る目が、たまに厭な光を帯びていたから。 占いを依頼してくる客にたまにああいった目を持つものが居る。 自己顕示欲が強くて、その目的のためには他人がどうなろうが構わない。 そういった思考を持つもの。 犯人だという確証はなかった。 だが、あの目が嫌いだった。 だけどエドは、とてもDDが好きで。 DDのことを信頼しきっていて。 だから言えずに。 エドに危害を加えないのならこのままでもいいか、とさえ思ったけれど。 エドは本当に馬鹿だ、と思う。 利用するために、ただそれだけのために近づいた私に、笑顔を向けてくれる。 私を『親友』と言ってくれるエドのために何かしたかった。 だけど結局、自分は何も出来なかった。 エドを巻き込んで迷惑をかけただけ。 「すまない」 「・・・謝ることないよ」 何も出来ない私を許してくれなくていいのに。 エドは本当に馬鹿だ、と思う。 馬鹿みたいに 優しい。 だからキミが好き。 END 斎エド みんな終わった後ってことで。 斎王さまは薄々DDが悪いヒトだって気がついていたのではないかなと思うのですよ。 だって未来とかいろいろ見えるんだし。 でもエドがDD好きだから言えなかったの。 そういう優しい所が好き、と。 そんな妄想です(^_^)
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