■「キミにおかえりを」(斎エド)■ 斎エド。エドを心配してる斎王さま。
エドが来ない。
毎日のように病室へ顔を出し、それが無理な時には電話やメールを欠かさなかったエドから何の連絡もない。 ほぼ入り浸りで「斎王ただいま」などと言って病室に入ってきたエドが、だ。 こちらから電話をしても、むなしくコール音が返るばかりで反応がない。 連絡がつかなくなって二日目の午後、心配になった斎王はデュエルアカディミアに電話をかけた。 確かエドは学校に顔を出すようなことを言っていた。 何か情報があれば、と思ったのだが応対に出た教頭は語尾を濁すばかりで要領を得ない。 とにかくアカディミアに行ったことは間違いないようだ。 そして多分何かトラブルに巻き込まれている。 電話口では埒が明かない、と判断した斎王は電話を切ると、その足で機上の人となった。 「あんな騒ぎを起こしておいて今更顔をだ出せた義理もないのですが、エドはこちらに来たのでしょうか」 一度来たことのある校長室で、斎王は鮫島校長にそう訊ねた。 校長は言い辛そうに答えた。 「実は異世界に飛ばされてしまった可能性があるのです」 「異世界?」 校長は頷いた。 「目撃者は居ないのですが・・・その可能性は高い」 校長の話によると、このデュエルアカディミアごと100名ほどの生徒が異世界に飛ばされていたのだそうだ。 そしてやっと帰って来れたと思ったのも束の間、地震のような揺り返しに寄ってまた数名が向こうに飛ばされてしまったらしい。 確かではないがその数名の中にはエドも含まれているらしい。 普通の人間ならば俄かには信じられない話だ。 異世界など。 だが斎王には校長の話が作り話とは思えなかった。 一面の砂。 砂の中に立つデュエルアカディミア。 そしてモンスターたち。 以前破滅の光の予言で見たあの世界。 其処にエドも行ってしまったのだろうか。 斎王は言った。 「他に何名か、と仰いましたが、皆一緒に行動しているのでしょうか」 「おそらく」 校長は頷いた。 ほんの少し、安心した。 一人ぼっちが誰よりも嫌な子だから 誰かと一緒なら、まだいい。 一人でないのなら。 きっと頑張っている。 ―――――泣いていないはずだ。 その方面に詳しい教授と協力して、出来る限り早く無事に戻ってこれるように尽力を尽くすという校長に、斎王は頭を下げて校長室を後にした。 携帯を取り出して、エドへコールする。 機械類の扱いは苦手だが、携帯の使い方はエドが根気よく教えてくれたおかげで何とかなっている。 相変わらず空しく呼び出し音が響くばかりで応答はない。 それでも斎王は言った。 「早く帰っておいでエド」 「待っているから」 おかえり、と言うために。 END 斎エド 斎王さまがエドを心配して おろおろしてたらイイナ!ってことで。 それにしても フツー子供が行方不明なんていったら大問題だろ(^^ゞ よく親が怒鳴り込んでこないものだよ。
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