■「キミの側で」(斎エド)■ 斎エド。病室でテレビを見ながら。
「斎王」
「ああ、エド。今終わるから少し待っていてくれないか?」 見舞いに行った病室で、斎王は先日と同じようにテレビを見ていた。 ベッドに備え付けてある小さなものだ。 以前はテレビなんかまったく見なかった。 それがいい変化なのか悪い変化なのかわからないけど、少しずつ変わってきているように思う。 テレビの内容は、この間と同じ代わり映えのしないもののようだった。 2時間ドラマとかいうヤツの再放送で、同じ俳優が出ている上にストーリーも似通っているから、ボクには先日放送されていたヤツと何処が違うのかさっぱりわからない。 海に面した崖の上で犯人と思しき女優が言う。 『もう殺すしかないと思ったんです』 なんて短絡的。 他にいくらでも選択肢はあるだろうに。 はっきりいってツマラナイ。 最初から見てないからツマラナイと感じるのかもしれない。 そう思ったけれど、すぐ違うと気がつく。 話の内容もそうだけれど、それより、斎王がテレビに夢中になっていてボクにかまってくれないのがツマラナイ。 「身につまされるね」 斎王が言った。 「私もこうなっていたかもしれない」 「何言ってるんだ、斎王」 「もっと酷いかな。レーザー衛星なんか使おうとしたんだからね」 「斎王」 斎王の口調が少し自虐的に感じて、ボクは強く名前を呼んだ。 だってあれは斎王が悪いんじゃない。 こんな三文ドラマの犯人とは違う。 悪いのはもっと早く気がついて助けてられなかったボクの方だ。 斎王が自分を責めることなんてない。 ボクが斎王にそう言おうとした時、テレビの中で犯人が刑事に向かって言った。 『あの雨の日、誰か側にいてくれたら私の人生は変わっていた・・・』 斎王が画面から目を離して、ボクを見る。 「何とか踏みとどまれたのは、エド、キミのおかげだよ」 「感謝しているよ、エド」 「感謝だなんて、やめてくれ斎王」 ボクは何も出来なかった。 破滅の光の人格を倒したのはボクじゃない、十代だ。 言いながら俯いてしまう。 斎王のことが大好きなのに、何の役にも立たなかった。 斎王の手がボクの手に触れた。 顔を上げたボクに斎王が優しく告げる。 「あの時、私の心を助けてくれたのは、エドだよ」 「キミが傘を差しかけてくれたんだ」 「キミは私の一番大切な友人だ」 斎王が綺麗に笑うからなんだか気恥ずかしくなって、ボクはわざと軽い調子で言った。 「じゃあテレビなんか見てないでボクの相手をしてくれよ、斎王」 「そうしよう」 斎王はにこりと笑って、テレビのスイッチを切った。 END 斎エド いやなんか此処のところの展開が2時間ドラマか どろどろの昼メロかってカンジだから・・(^^ゞ 破滅の光をデュエルで退けたのはアニキだけど あの時向こうへ行きそうな斎王さまが踏みとどまったのはエドが間に合ったからだと思います。 エドの愛が斎王さまに届いたの・・! エドは斎王さまには甘えたさんだといい。 斎王さまとお兄さんは「普段はおっとりさん」ってイメージ持ってるのですが 今回書いてて なるほどエドがヘル兄と仲良く出来るわけだわと思ったです。 扱い方はほぼ一緒でOKなわけだ(笑) 2007.09.30
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