■痛みを伴う予感(三万)■ ■手放せない恋のお題三万 万丈目VS三沢のデュエルより前なカンジで。 三万と言いつつ翔と三沢ばっかり。
「どけ」
万丈目が低く言った。 「ああ、はいどうぞ」 答えて三沢は万丈目に道を譲り、端に避けてやる。 「ふん」 礼を言うわけでもなく、万丈目とその取り巻きたちは廊下の真ん中を歩いて行った。 三沢の後ろに隠れていた翔がそれを見送って言う。 「何あれ、感じ悪−い!」 「まあ別にいいじゃないか、真ん中が歩きたいんだろう」 そんなことどうだっていいことだ。 三沢は別に真ん中など歩きたいとは思わない。 しかし翔は尚も不満気だ。 「三沢くん、ムカつかないの?」 「別に?」 それはとりあえず三沢の本心だった。 あんな偉そうな態度をとれなくなるように、デュエルで圧勝してやればいいだけの話だ。 近いうちに。 思うけれど口には出さない。 如何にも人の良さそうな笑顔で返しておいた。 「しかし万丈目は何であんなにオレが嫌いなのかな。会うたびにアレだ」 先ほどの睨み殺さんばかりの目つきを思い出して、やれやれと肩を竦めて見せる。 「そりゃそうッスよ」 翔は言った。 「入試トップ、ラーイエローで一番の三沢大地と言ったら、いつオベリスクブルーに上がってくるかわからないもの、自分の地位が脅かされないか気が気じゃないんでしょ。牽制してるんスよ」 「そういうもんかな」 饒舌な翔に感心するように相槌を打つ。 オベリスクでも実力者の万丈目に意識して貰っているのは正直嬉しい、と思う。 「三沢くんもかなり万丈目くんのこと気にしてるよねぇ?」 不意に翔が言った。 「そうかな?」 そうかもしれない、と思いつつ三沢は言った。 オベリスクの生徒は何も万丈目だけではない。 だけど特に万丈目が気になっている自覚はあった。 それを誤魔化すように三沢は続けた。 「確かにいつかデュエルしたいとは思っているけど」 デュエルして、負かしてやりたい。 その時万丈目はどんな顔をするのだろう。 「三沢くんて、ああいうタイプが好きなんすか?」 その言葉に、三沢は翔の顔をまじまじと見て言った。 「・・・万丈目は男だろう」 「そうじゃなくって!」 やだなぁと翔は屈託なく笑う。 「気の強そうなキツめの美人が好きなんじゃない?」 「美人、ねぇ・・」 万丈目の顔を思い出しながら三沢は答える。 確かにキツめの美人と言うに相応しいかも知れなかった。 「まあそうかもしれないな」 「ボクはやっぱり可愛い系がいいなぁ。美人も捨てがたいっすけど!」 聞かれてもいないのに己の好みを言って、翔は照れ臭そうにえへへと笑った。 「アニキはどんな子がタイプ?」 「小さくて眼鏡をかけた可愛い子」 三沢と翔が話をしているのを面白くなさそうに眺めながら、今まで会話に参加してこなかった十代は、即答した。 「ふうん?やけに具体的っすね」 翔は小首を傾げる。 誰の事を指しているのか、三沢は察しがついたが、黙っていた。 他人の恋愛に特に興味はない。 それよりも、自分のことだ。 「三沢くんて、ああいうタイプが好きなんすか?」 成程、そういうことかと合点がいく。 「オレは好きな子を苛めたくなるタイプだったんだなぁ」 自覚して、苦笑した。 早くデュエルがしたい。 その時万丈目はどんな顔をするのだろう。 END 三万。 どうしても初期三沢に 優等生で人当たりいいけどワルイ男なイメージを持ってる私(^^ゞ 負けたお前はオレの言いなりになれ、とか 自分はカードに落書きしておいて捨てた準たんをカードを大事にしてないって責めたりとか そういう所からだと思われます。 本当は再放送三万対決より前に書きたかったんですけども(^^ゞ 三万促進のために書いたつもりがなんか全然そうならなかった・・ でも再放送で三万が増えるとイイナ! お題はこちらから 恋したくなるお題 (配布)
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