オレンジ色した悪戯な灯りレイニーブルーの鐘の音芽生える気持ち、若葉の憂鬱暑気あたり、気づけば腕の中。はじめまして、大嫌い。






 

「万丈目、お菓子と悪戯のどちらか2択を迫られたらどうする?」
「なんでその2択なんだ」
唐突な問いにコイツは本当に阿呆になったのかと思った。
しかしすぐ其れが何の話かわかった。
Trick or treat.
つまりハロウィンが近いのだ。
「お菓子の方がいいに決まっているだろう」
「そうか、そうだよな」
三沢はそう言って再び床に数式を書きだした。
ハロウィンと数式の因果関係が解らない。
「何を計算しているんだ」
聞くと三沢はしれっと言った。
「万丈目が悪戯を選択してくれる確率についてだ」
勿論殴ってやった。


後悔はしていない。アイツが悪い。



***
三万

恋するカレンダー12題 
オレンジ色した悪戯な灯り

12.10.27



 

雨の日は何故かイライラする。
室内に籠った嫌な「気」が全部此方に向いているように思えてくる。
実際聞こえるように陰口を叩いてくる輩も居るのだ。
『昔はブルー寮トップなんて威張っていたけど』
『たいしたことないね』
こそこそと悪口を言っている暇があったらデュエルでかかってこい、と思う。
けれど本当はそんな噂を気にしてしまう自分が一番嫌だ。
青の制服を捨てて、この学園でただ一人の黒い服を着て。
自分は自分だと、ふっ切った筈なのに。
「なんだ万丈目、イライラしてるなあ」
黄色い制服を着た男がのんびりと言った。
にこっと笑って馬鹿なことを言う。
「生理かい」
「んなわけがあるかあ!」
この数式馬鹿は頭は悪くない筈なのだが、時々阿呆なことを言う。
「貴様はオレをなんだと思ってるんだ!」
「何って…」

「万丈目だろ?」

阿呆なことを言うくせに時折欲しかった答えをさらりとくれたりするのだから始末に負えない。

***
三沢は頭いいけど馬鹿だと思ってる(^^ゞ

恋するカレンダー12題2
レイニーブルーの鐘の音

12.06.21

 




 

『今年のイエローTOPは相当デキるらしいぜ』
4月に入った途端流れ出した噂は、最後に必ずこう付け加えられていた。
『万丈目だって負けるかもしれないな』
明らかに悪意のある噂。
万丈目がピリピリするのも無理はない話だろう。
中学からの持ち上がりで、自分はエリートであるという自覚があった。
あんな奴に負けるわけがない。
「…おい、何をしている」
「ああ、ごめん。数式を解いていたらいつの間にか…」
廊下にまで数字を書き散らし、三沢はへらりと笑う。

こんな奴に負けるわけがないではないか。

奴の一挙一動がいちいち気に障る。

***
意識してる。

芽生える気持ち、若葉の憂鬱

12.05.24

恋するカレンダー12題2
お題Fortune Fate

 


 


「あ、気が付いた」
目を開けると翔が覗きこんできた。
「オレは・・」
木の下に横になっている状態で翔を見上げる。
「熱中症じゃない?そんな黒い服着てるからだよ」
虫眼鏡で火が付きそうだよね、などと翔は失礼なことを言う。
態度は失礼だがそれでもパタパタとハンカチを団扇代わりに風を送ってくれている。
「さっき三沢くんに水持ってきてってメールしたからもうすぐ来ると思うよ」
「待て!何で三沢何か呼んだ!!!」
思わず身体を起こすと、目が回る。
翔はにっこり笑って言った。

「三沢くんに看病させようと思って」

「ボクって親切でしょ」
「何処がだ!それは余計な御世話というんだ!!」
万丈目が怒鳴ると翔は言った。
「万丈目くんは少し素直になった方がいいよ」
「五月蠅い!!」
そんな言い争いをしている間に三沢が駆けてくるのが見えた。

***
三万
おせっかい焼いてみる翔。大きなお世話(笑)
準たんと翔は仲良しと思ってる。


暑気あたり、気づけば腕の中。


11.08.26


 





この学校に中等部があることは知っていた。
其処からの持ち上がりはたいていブルー寮の生徒であることも。
ブルー寮の青い制服は、この学校でデュエルが強いことの証。
所属が何処の寮であろうと、デュエルを学べることは同じだし、特に早く上がりたいとは思わないが、強いデュエリストには興味があった。
自分のデュエルを、公式を、強い相手で試してみたくて仕方がないのだ。
「おい、其処を退け」
「ああ、すまない」
つい、考え込んでしまっていたらしい。
場所を開けるとブルー寮の生徒は其処へ座った。
他の席がいくらでも空いているのに、どうしても其処が良かったらしい。
まあそういう人間も居るだろう。
特に気にもせず、他の席へ移ろうとすると、その生徒が威嚇するかのように言った。
「イエロー寮のトップだからって、調子に乗るなよ、三沢大地」

まるで猫のようだ、と思った。

此処はオレの縄張りだと、主張して鳴く猫。

「調子に乗っているつもりはないけどな」
三沢はそう言ってにこりと笑って見せた。

***

はじめまして、大嫌い。


可愛いにゃんことぜひ対戦してみたい。

11.04.25



恋するカレンダー12題 2
お題は此方からFortune Fate






 

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