獏表というかバク表?
「どうしたの、獏良くん?」
獏良がじっと見ているのに気が付いて千年パズル所持者・・武藤遊戯は帰り支度の手を止めてこっちを見た。
教室には他に人影はない。
いつものメンバーはそれぞれの事情で先に帰ってしまっている。
その中で獏良だけが遊戯を待っていた。
獏良がこうやって遊戯を待っているのは珍しいことではない。
一人暮らしをしているせいかたまに人恋しくなるようで遊戯を夕食に誘ってくれることもある。
でも今日は相談したかったらしい。
千年アイテムを持つもの同士として。
「うん・・・遊戯くんトコは仲が良くて羨ましいなって」
「ボクのとこ?」
「<リングの彼>はみんなに迷惑ばっかりかけるから、ね」
「獏良くん・・・」
獏良の不安が遊戯にはよくわかった。
それはかつて自分も感じたものだから。
「でもボクこの間獏良くんのもうひとり人格・・リングの方の彼のおかげでパズルを取り返すことが出来たんだよ」
「火事の時の・・話?」
遊戯は大きく頷いて見せた。
「もうひとりの獏良くんが助言してくれたおかげでボクはパズルを・・もうひとりのボクを取り戻すことが出来たんだ」
「でもボクには何かまた悪いことでも考えてるように思えてならないんだ」
「考えすぎじゃない?」
大丈夫だよ、と遊戯は獏良を励ました。
それからふと気が付いたように問いかける。
「・・・獏良くんは<もうひとりの自分>が怖いの?」
「怖い・・のかな」
「ボクは最初怖かったよ。<もうひとりのボク>が」
「怖かった・・?」
「・・・ううん」
遊戯は一度頷いて肯定して見せた。しかしすぐにそれを否定する。
それから自分の胸に下げている千年パズルに触れる。
それは静かに金の輝きを保っている。
「怖かったのは自分自身なのかな・・。突然記憶がなくなったりとぎれたりして・・ボクいったいどうしちゃったんだろって」
ボクと同じだ。
小さく獏良がつぶやいた。
「でも城之内くんやみんなが励ましてくれて・・友達に裏も表もないって言ってくれたからボクは<もうひとりのボク>とちゃんと向かい合うことが出来るようになったんだ」
「友達・・・」
ボク達友達でしょ。
遊戯は獏良に向かって笑ってみせる。
「獏良くんにもボク達がついてるよ。だから大丈夫」
「・・・うん。ありがとう遊戯くん」
「さ、もう帰ろ。遅くなっちゃったよ」
遊戯が獏良を促してかばんを持ったそのとき、獏良が突然千年パズルの鎖を左手で掴んだ。
そしてそのままぐいと引き寄せる。
「え・・!?」
不意をつかれた遊戯は獏良の胸に倒れかかる格好になった。
「気楽なもんだな」
獏良は馬鹿にしたように鼻で笑った。
「獏良・・・くん」
千年リングの人格。・・・もうひとりのバクラ。
バクラは遊戯の顔を開いている右手で上げさせた。
そして、噛み付くような・・・キス。
瞬間飛んできたもうひとりの<遊戯>の右手を軽くかわしてバクラは後方に逃げた。
「オレはオレの欲しいものを手に入れる。・・それだけだ」
「バクラ・・・!!」
<遊戯>は手の甲で口元をぬぐった。
「“お友達”だろうがなんだろうが邪魔はさせないぜ」
「きさま・・」
そして。
現れた時と同じように唐突に<バクラ>は姿を消した。
そこにいるのは獏良。
「あれ・・遊戯、くん?」
「獏良・・お前のカンは当たったようだぜ」
「え・・?」
なにかたくらんでいる。
それは確かなようだ。
それがなんなのかはわからないけれど、でも。
「大丈夫だよ、獏良くん」
「・・・遊戯くん」
「もしなにかあったとしてもボク達がいるよ、ね?」
「・・うん」
多分それは遊戯の本音だろう。
そしてそれは獏良を安堵させる呪文となった。
友達がついていてくれるなら、自分を信じてくれるなら。
何が起ころうと負けはしないだろうと。
これから始まるバトルシティの闘いを彼らはまだ知らない。
End
でんがなさん3500HITリクエスト獏良→表です。
いつもありがとうございます〜!!
一応・・・シリアスのつもりですが
私が書くとなんかアレですわね・・(汗)
バクラ様は基本的に
「オレのものはオレのもの。お前のものもオレのもの」
ってヒトだと思うので(笑)
ってゆーか!バクラ様がもう少しで遊戯ちゃんを
食っちゃうトコでしたよ!!(爆)あわわ!
獏良がじっと見ているのに気が付いて千年パズル所持者・・武藤遊戯は帰り支度の手を止めてこっちを見た。
教室には他に人影はない。
いつものメンバーはそれぞれの事情で先に帰ってしまっている。
その中で獏良だけが遊戯を待っていた。
獏良がこうやって遊戯を待っているのは珍しいことではない。
一人暮らしをしているせいかたまに人恋しくなるようで遊戯を夕食に誘ってくれることもある。
でも今日は相談したかったらしい。
千年アイテムを持つもの同士として。
「うん・・・遊戯くんトコは仲が良くて羨ましいなって」
「ボクのとこ?」
「<リングの彼>はみんなに迷惑ばっかりかけるから、ね」
「獏良くん・・・」
獏良の不安が遊戯にはよくわかった。
それはかつて自分も感じたものだから。
「でもボクこの間獏良くんのもうひとり人格・・リングの方の彼のおかげでパズルを取り返すことが出来たんだよ」
「火事の時の・・話?」
遊戯は大きく頷いて見せた。
「もうひとりの獏良くんが助言してくれたおかげでボクはパズルを・・もうひとりのボクを取り戻すことが出来たんだ」
「でもボクには何かまた悪いことでも考えてるように思えてならないんだ」
「考えすぎじゃない?」
大丈夫だよ、と遊戯は獏良を励ました。
それからふと気が付いたように問いかける。
「・・・獏良くんは<もうひとりの自分>が怖いの?」
「怖い・・のかな」
「ボクは最初怖かったよ。<もうひとりのボク>が」
「怖かった・・?」
「・・・ううん」
遊戯は一度頷いて肯定して見せた。しかしすぐにそれを否定する。
それから自分の胸に下げている千年パズルに触れる。
それは静かに金の輝きを保っている。
「怖かったのは自分自身なのかな・・。突然記憶がなくなったりとぎれたりして・・ボクいったいどうしちゃったんだろって」
ボクと同じだ。
小さく獏良がつぶやいた。
「でも城之内くんやみんなが励ましてくれて・・友達に裏も表もないって言ってくれたからボクは<もうひとりのボク>とちゃんと向かい合うことが出来るようになったんだ」
「友達・・・」
ボク達友達でしょ。
遊戯は獏良に向かって笑ってみせる。
「獏良くんにもボク達がついてるよ。だから大丈夫」
「・・・うん。ありがとう遊戯くん」
「さ、もう帰ろ。遅くなっちゃったよ」
遊戯が獏良を促してかばんを持ったそのとき、獏良が突然千年パズルの鎖を左手で掴んだ。
そしてそのままぐいと引き寄せる。
「え・・!?」
不意をつかれた遊戯は獏良の胸に倒れかかる格好になった。
「気楽なもんだな」
獏良は馬鹿にしたように鼻で笑った。
「獏良・・・くん」
千年リングの人格。・・・もうひとりのバクラ。
バクラは遊戯の顔を開いている右手で上げさせた。
そして、噛み付くような・・・キス。
瞬間飛んできたもうひとりの<遊戯>の右手を軽くかわしてバクラは後方に逃げた。
「オレはオレの欲しいものを手に入れる。・・それだけだ」
「バクラ・・・!!」
<遊戯>は手の甲で口元をぬぐった。
「“お友達”だろうがなんだろうが邪魔はさせないぜ」
「きさま・・」
そして。
現れた時と同じように唐突に<バクラ>は姿を消した。
そこにいるのは獏良。
「あれ・・遊戯、くん?」
「獏良・・お前のカンは当たったようだぜ」
「え・・?」
なにかたくらんでいる。
それは確かなようだ。
それがなんなのかはわからないけれど、でも。
「大丈夫だよ、獏良くん」
「・・・遊戯くん」
「もしなにかあったとしてもボク達がいるよ、ね?」
「・・うん」
多分それは遊戯の本音だろう。
そしてそれは獏良を安堵させる呪文となった。
友達がついていてくれるなら、自分を信じてくれるなら。
何が起ころうと負けはしないだろうと。
これから始まるバトルシティの闘いを彼らはまだ知らない。
End
でんがなさん3500HITリクエスト獏良→表です。
いつもありがとうございます〜!!
一応・・・シリアスのつもりですが
私が書くとなんかアレですわね・・(汗)
バクラ様は基本的に
「オレのものはオレのもの。お前のものもオレのもの」
ってヒトだと思うので(笑)
ってゆーか!バクラ様がもう少しで遊戯ちゃんを
食っちゃうトコでしたよ!!(爆)あわわ!
2000.12.04