■日焼け上等(城表)■

■十二ヶ月を巡るお題■

日焼け上等(城表)












「城之内くん、こんなトコで寝てたら真黒になっちゃうよー」
閉じた瞼の向こう側で歌うように遊戯の声がする。
「いいんだよ」
言いながら城之内はゆっくり目を開けた。
眩しい。
そして、暑い。
風は吹いているけれど、こんなにも日が当っていれば暑いのは当たり前だが。
昼寝を始めた時は、此処は丁度木の影になっていたのだけれど、日が昇るにつれ、影が短くなって日向になってしまったらしい。
それでも寝ているあたり、我ながら凄いなと感心する。
空を見上げながら城之内は言った。
「真白でモヤシみたいなより、日焼けしてた方がカッコいいだろ」
「そーかなー。こんな暑いとこじゃ干物になっちゃうよ」
足元の方で遊戯の声がする。
「それに」


「城之内くんならなんでもカッコイイと思うよ」


さらっと言われて、ちょっと照れる。
遊戯は時々素でそういうことを言うから性質が悪い。

期待して、しまうではないか。

しばらく空を見上げた後、ようやく身体を起こして見渡すと、遊戯は右へ左へと忙しく移動していた。
棒を持って、熱心に地面の上に何か描いている。
その絵は城之内を取り囲むように四角く描かれていた。
「何描いてるんだよ、遊戯?」
遊戯は地面から顔をあげて、にこっと笑った。
「魚焼く網」
「あのな」
城之内を魚の干物に例えて、地面に絵を描いていたらしい。
「なにやってるんだよ」
プロレス技のように首を腕で捕まえる。
本気で締めているわけではないのは遊戯もわかっているから、この暑いのにじゃれ合いのようになる。
でも楽しい。
「まったく、ホントに干物扱いかよ」
しばらく仲良く騒いだ後、城之内がそう言うと、遊戯は言った。
「じゃあフライパンが良かった?」
ポケットに入れていたらしい、300㎖の小さなペットボトルを取り出して、城之内に押しつける。
冷たい。
「水を少し加えて、蓋をして、美味しい焼き餃子の出来上がり!」
魚の干物から、焼き餃子になったらしい。
「どっちにしろ食べ物かよ」
再び遊戯を捕まえてぎゅうと抱きしめる。
「餃子の逆襲だぜ。食っちまうぞ」



後半、やや本気の台詞に、遊戯はただ楽しそうに笑った。



END




城→表
まだ片思いぽい

7月のお題の城表率の高さに我ながら吃驚っすよ。
城之内くんはやっぱ夏似合うよね。




2009.07.26



■十二ヶ月を巡るお題■

宿花(閉鎖されました)

 

 

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